they met exceeding the time

□It was called fate
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――元治元年 葉月




【三】と描かれたまだ新しい純白の羽織に、漆黒の小袖と袴。往来の中で一際目立つ死神の正装を見に纏い、僕は京の二条城近辺を歩いていた。


小袖と袴、といったけれど、僕はれっきとした女なんですよ。なのになぜ、誰からの注目も浴びないかと言うと理由はまあそう小難しいものじゃありません。


僕たち"死神"が用いる術のひとつで、姿全体を覆っているだけのこと。人から見れば、たった1文で済まされることじゃないけど。


術の内容云々は、ここでは割愛させてもらうね。



ここでひとつ、僕らをよく知っている人達には疑問が生じたことだと思う。義骸と呼ばれる魂の入れ物に入っていない、所謂"ユウレイ"と同じ状態の僕がなぜわざわざ姿を隠すのか。


実は、重霊地と呼ばれる霊力の集まりやすい土地が幕末の"京"なんだけど。その影響か否か、ユウレイや虚(ホロウ)といった普通の土地じゃあほとんどの人間が見えないはずのモノがここでは見えてしまうんだ。僕ら死神もまた然り。


それ自体、まだ技術開発局も解明出来ていない。そんなプロ集団がわかってない事を僕が解るわけ。解ってたらマユリから局長の座を奪えると思うんだ、うん。


とりあえず、小難しい話はここまでにして。次は"僕"について軽く話しておくね。


まず、名前は#2# #1#。尸魂界では護廷十三隊の三番隊に所属しています。ただ、幕末の、じゃない。今から約130年後の、三番隊。


じゃあどうして幕末にいるかというと、一言で言えば人手不足だから。





まず彼女はこの時代の死神ではない。






この時代の死神だけでは対処しきれていない虚大量発生中の京に、総隊長の命で任務についていたのだ。






無論、その任務というのは虚の殲滅。







魂魄消失事件により、複数の隊長格が除籍処分となったこの時代の尸魂界では、瀞霊廷の復旧に追われているため、このような救済措置がとられたのだ。







「なんか、さっきから刀差したやつが走り回ってんだけど」






現在の時刻はすでに子の刻を回っている。






普通ならば寝静まり、静寂に包まれているはずの街中が騒がしい。





気になった女―白樹奏は隣にいた自身の斬魂刀『燈皇』に声をかけた。





燈皇は奏の副官である吉良イヅルから貰ったこの時代の略年表を広げ、今日の日付を確認する。






「元治元年7月22日っと…お、あった」







「どうだ」







「んーと、3日前に『禁門の変』ってのが京であって、人間が2つに分かれてドンパチやったみたいよ」





んで、それの片付けじゃない?と燈皇は続けた。



「人間が2つに?肉体と魂魄にってことか?」







「いや、そういうんじゃなくて…」






よく分からない、と言いたげな顔をした奏に、燈皇はこの時代についてざっと説明し始めた。













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禁門の変の日付については誤表記の可能性があります。あくまで、この小説内での時代背景としてご理解ください。
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