they met exceeding the time

□True ability whose glimpse it caught
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「いやー、ダメだなァ。いい年した大人がこーんなちっちゃい子を集団でイジメるなんてさあ」


人混みを掻き分けるようにして現れたのは、浅葱色の髪に瑠璃色の瞳を持った浮世離れした美少年。


スラっとした細身で、到底浪士たちに敵いそうな体躯ではない。


浪士たちもそう感じ取ったのか、再び下品な笑い声を上げながら、狙いを少年に定め斬り掛かった。


「危ないっ!!」


咄嗟に千鶴が叫んだが、


「ぎゃあああああああ!!」


「えっ・・・!?」


彼女の耳に聞こえてきたのは、少年の声ではなく浪士の1人が発した耳を劈くような叫び声。


恐る恐る俯いていた頭を上げると・・・


目に飛び込んできたのは、少年が浪士の右腕を自身の右手でつかみ、捻り上げている光景だった。


浪士は苦痛で顔が歪み、額には脂汗が浮かんでいる。


一方の少年は涼しい顔でその浪士を見つめている。


「クソッ、離せッ!!」


苦し紛れに腕を掴まれている浪士が叫んだ。


その声に反応した少年はニヤリと口角を上げ、捻り上げていた右腕の力を緩め、浪士の左足を己の右足で素早く払った。


その刹那、少年が何らかの行動を起こす。


あまりの速さに誰もが何をしたのか捉えることが出来なかったが―


気づいた時、浪士は背中から地面に叩きつけられていた。


「―ッ!!??」


一体何が起きたのか。


それは至って単純明快な出来事だ。


少年が浪士の足を払い、バランスを崩した浪士を少年が投げ飛ばした、ただそれだけのことである。


・・・ただ、その一連の動作が人の域を超えた速さであった、というだけの。





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