they met exceeding the time
□True ability whose glimpse it caught
2ページ/4ページ
「いやー、ダメだなァ。いい年した大人がこーんなちっちゃい子を集団でイジメるなんてさあ」
人混みを掻き分けるようにして現れたのは、浅葱色の髪に瑠璃色の瞳を持った浮世離れした美少年。
スラっとした細身で、到底浪士たちに敵いそうな体躯ではない。
浪士たちもそう感じ取ったのか、再び下品な笑い声を上げながら、狙いを少年に定め斬り掛かった。
「危ないっ!!」
咄嗟に千鶴が叫んだが、
「ぎゃあああああああ!!」
「えっ・・・!?」
彼女の耳に聞こえてきたのは、少年の声ではなく浪士の1人が発した耳を劈くような叫び声。
恐る恐る俯いていた頭を上げると・・・
目に飛び込んできたのは、少年が浪士の右腕を自身の右手でつかみ、捻り上げている光景だった。
浪士は苦痛で顔が歪み、額には脂汗が浮かんでいる。
一方の少年は涼しい顔でその浪士を見つめている。
「クソッ、離せッ!!」
苦し紛れに腕を掴まれている浪士が叫んだ。
その声に反応した少年はニヤリと口角を上げ、捻り上げていた右腕の力を緩め、浪士の左足を己の右足で素早く払った。
その刹那、少年が何らかの行動を起こす。
あまりの速さに誰もが何をしたのか捉えることが出来なかったが―
気づいた時、浪士は背中から地面に叩きつけられていた。
「―ッ!!??」
一体何が起きたのか。
それは至って単純明快な出来事だ。
少年が浪士の足を払い、バランスを崩した浪士を少年が投げ飛ばした、ただそれだけのことである。
・・・ただ、その一連の動作が人の域を超えた速さであった、というだけの。
→
→
次へ
←
前へ
[
戻る
]
[
TOPへ
]
[
しおり
]
カスタマイズ
©フォレストページ