□百鬼夜行物語
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「神様女神様刹那様ーっ!ありがとう〜!!!」


『はいはい。解ったから早く写さなきゃ先生来ちゃうわよ』


「うん!」




昼休み終了10分前

友人に宿題を写させながら、まさか、彼らと話す事になるとは思わなかったっと頬を緩めた。




「?刹那?どうかした・・?」


『え?』


「なんか、嬉しそう」


『・・・何でもないわ』







―――――――――
―――――――――――――――――


『・・・』




帰り道


たまたま見かけた光景に立ち止まったまま凝視してしまった。




『(・・・鎌鼬・・と、風狸?)』




道の端で何やら話をする二つの小さな鼬と狸

普通の小動物に見えるが、私には解る。


あれは、妖怪だ。




『(九尾達だけでなく鎌鼬と風狸まで?)』




彼らも死んでしまったのだろうか・・と考えを馳せる。

疑問は残るが、今の私には彼らとの接点は皆無だ・・


目を伏せ、刹那は黙って踵を返した――・・・。







―――――――――――
――――――――――――――――


(ん?)


(どうした?)


(今、見られてなかったか?)


(・・・狸だからだろ)


(お前鼬じゃねぇか)


(うっせぇよ!んで、どうすんだ)


(ビンゴだよ。連中が動き回ってる・・俺は上行くからてめぇ下行け)


(命令すんな!!てめぇにだけはぜってぇ負けねぇ!!)


(アン!?俺がてめぇに負けるかよ!!)


「ママー見て〜タヌキとイタチが遊んでる〜」


「あら、可愛いわねぇ〜」


((遊んでねぇ!!))




一度お互いにギッと睨み合い、負けねぇ!!と吠えた。


瞬間、




ゴオォォオッ!!




強い風が吹き、次に見た時その小柄な姿は見当たらなかった・・。







――――――――――――
―――――――――――――――――


・・・視線を感じる。


ジッと観察するような・・敵意や悪意は感じない。

ただ、懇願するような・・切なさや哀しみを混ぜたような視線だった。




(・・・何かしら)




酷く、懐かしい




バッ




背後の気配が動くのを感じ、ガッと近くに立てかけてあったモップを手にし、振り向き様に振り払う。




ドゴッ


――――・・・ズザァア




【きゅう!】


『・・・え、』




ズザァと地に打ち付けられ、クぅと鳴き声を漏らした・・その、鳥。




『羅刹鳥・・・』




茫然と、その名を呟いた。


羅刹鳥

羅刹女の使役する遣い


前の世界で別れたはずだった・・・




『本当に・・』




腰を降ろして再び問えば、むくりと起き上がってジィッと此方を見つめてくる。

漆黒の、所々濃い紫の羽が混じる四肢に、輝く黄金色の瞳・・・




【クゥ】


『ッ羅刹鳥・・!!』




ギュウっと、刹那はその身を抱えて抱きしめた。



何故、ここに居るのか

何故、今になってわたしの・・こんな私の元へ戻ったのか



疑問や不安は・・聞きたいことも山ほどある。


嬉しい


でも、手放しで喜べない

しかし、かつての友との再会に、刹那はきゅっと・・唇を噛みしめた。













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