二
□百鬼夜行物語
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ズズ・・
空間を裂いて現れた複数の影に、[そこ]に居た彼らはやっとかと言う顔をした。
「やぁ。随分遅かったね」
「待ちくたびれたっスよー」
「そまんなぁ。ウチにはいーっつも練習サボる困ったちゃんがおるもんやから」
「うっせ」
今吉・・九尾の言葉に、後ろに怠そうに佇んでいた狼男は、不貞腐れたように端にごろんと横になった。
「で、桃ちんは何でダウンしてんの〜?」
「あん?飯の時間に自分で作った劇物食ってずっとこのまんまだ」
「「「「「・・・。」」」」」
「始めよう」
見事なスルー
流石だ赤司様!!酒天童子様!!
「皆さん、今日集まってもらった理由は解ってますね?」
各々の顔を見ながら酒天童子(今は赤司征十郎)は口を開いた。
「言われた通りに気ィ張ってたら案の定だぜ」
「確かに・・ここ最近の妖怪の行動が大胆且つ滅茶苦茶だな・・」
ポツリと、鎌鼬(笠松)と吸血鬼(宮地)が言葉を漏らした。
「東京付近での行方不明者は大体二桁超えたぜ」
「・・・あら。こっちは三桁よ」
「仕方ねーってレオ姐。京都は磁気が溜まりやすいし?鬼門もあるしで日本でも生粋の妖怪ホイホイじゃん」
「フン・・」
「まぁ、現在の俺達は妖界との関わりは無いに等しいからな・・把握の仕様がねぇ」
「だが、放置はできねーっしょ」
からりと高尾が言ったそれに、びりっと殺気が一瞬放たれる。
「当然だ。今は昔とは違う。今派手にやられると僕達が住み辛くなるからな・・。害為す妖怪は、話が通じず好き勝手にやってる奴らに限って許可する。殺せ」
ふと、その場に居た殆どが口端を上げて怪し気に笑みを浮かべた。
「で、アイツは?」
ピクリ、と、若松の言葉に我関せずを貫いていた鵺(花宮)が反応を示す。
「無論。見つけ次第捕獲だ」
綺麗な笑みを浮かべて、酒天童子は言い放った。
「今日はここまでだ」
解散
間を置かず
一瞬でで、その姿は闇に紛れ見えなくなった――・・・。
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カタン
『・・・ふぅ』
書いていたペンを机に置いて、刹那は息を吐いた。
日誌は終わったし、窓も閉めた・・今日の仕事は終わったかしら・・・
初めて人が死んで一週間・・被害者は着々と増えつつある。
『(現在で4人目・・)』
これ以上、被害者が増える前に何とかしないと、妖怪が住み辛くなってしまう・・。
でも、
『(妖力も無く、妖怪ですらない私に何が出来ると言うの・・?)』
・・・。
ふぅ、とため息をもう一度着いた後そっと目を閉じた。
『―――・・・帰ろう』
出来もしない事を考えても、仕方ないもの・・。
『・・・』
可笑しい。
学校から歩き続けて暫くが経っているのに、家につかない。
それどころか人の気配すら遠ざかる・・?
ザ
・・・まさか、
『!』
【ひひっ刹那ちゃーん】
ザァッ
赤い
赤い
――――――・・・さくら
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