□百鬼夜行物語
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ズズ・・



空間を裂いて現れた複数の影に、[そこ]に居た彼らはやっとかと言う顔をした。




「やぁ。随分遅かったね」


「待ちくたびれたっスよー」


「そまんなぁ。ウチにはいーっつも練習サボる困ったちゃんがおるもんやから」


「うっせ」




今吉・・九尾の言葉に、後ろに怠そうに佇んでいた狼男は、不貞腐れたように端にごろんと横になった。




「で、桃ちんは何でダウンしてんの〜?」


「あん?飯の時間に自分で作った劇物食ってずっとこのまんまだ」


「「「「「・・・。」」」」」


「始めよう」




見事なスルー


流石だ赤司様!!酒天童子様!!




「皆さん、今日集まってもらった理由は解ってますね?」




各々の顔を見ながら酒天童子(今は赤司征十郎)は口を開いた。




「言われた通りに気ィ張ってたら案の定だぜ」


「確かに・・ここ最近の妖怪の行動が大胆且つ滅茶苦茶だな・・」




ポツリと、鎌鼬(笠松)と吸血鬼(宮地)が言葉を漏らした。




「東京付近での行方不明者は大体二桁超えたぜ」


「・・・あら。こっちは三桁よ」


「仕方ねーってレオ姐。京都は磁気が溜まりやすいし?鬼門もあるしで日本でも生粋の妖怪ホイホイじゃん」


「フン・・」


「まぁ、現在の俺達は妖界との関わりは無いに等しいからな・・把握の仕様がねぇ」


「だが、放置はできねーっしょ」




からりと高尾が言ったそれに、びりっと殺気が一瞬放たれる。




「当然だ。今は昔とは違う。今派手にやられると僕達が住み辛くなるからな・・。害為す妖怪は、話が通じず好き勝手にやってる奴らに限って許可する。殺せ」




ふと、その場に居た殆どが口端を上げて怪し気に笑みを浮かべた。




「で、アイツは?」




ピクリ、と、若松の言葉に我関せずを貫いていた鵺(花宮)が反応を示す。




「無論。見つけ次第捕獲だ」




綺麗な笑みを浮かべて、酒天童子は言い放った。




「今日はここまでだ」




解散




間を置かず


一瞬でで、その姿は闇に紛れ見えなくなった――・・・。







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カタン



『・・・ふぅ』




書いていたペンを机に置いて、刹那は息を吐いた。

日誌は終わったし、窓も閉めた・・今日の仕事は終わったかしら・・・


初めて人が死んで一週間・・被害者は着々と増えつつある。




『(現在で4人目・・)』




これ以上、被害者が増える前に何とかしないと、妖怪が住み辛くなってしまう・・。

でも、




『(妖力も無く、妖怪ですらない私に何が出来ると言うの・・?)』




・・・。


ふぅ、とため息をもう一度着いた後そっと目を閉じた。




『―――・・・帰ろう』




出来もしない事を考えても、仕方ないもの・・。









『・・・』




可笑しい。




学校から歩き続けて暫くが経っているのに、家につかない。

それどころか人の気配すら遠ざかる・・?









・・・まさか、




『!』


ひひっ刹那ちゃーん




ザァッ









赤い


赤い




――――――・・・さくら













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