□百鬼夜行物語
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ドォオンッッ



『っく・・!』




ズザザッ



背後に感じた悪寒にその場を飛び退けば、聞こえた破壊音と、衝撃。

手を突き体制を整え、後ろを振り返って警戒を強めた。


擦り剝けた掌が、熱い。




【クスクス・・クスクス】




ああ、ああ


何故・・もっと早く気付けなかったのだろうと、自分に嫌悪した。


人が居ない

生き物の気配が無い

音が無い


テリトリーに、囚われているのだと・・煙が晴れ、狂ったように嗤う人成らざるモノを見ながら、今更ながら思った・・・。







―――――――――
――――――――――――――



【キャハハ】




ガァンッ!!




【キャハハハハハハハ!!】


『ッ』




簡単に言えば木のお化け


見かけで言えば、ルーツは少女のようだが、所々だ。顔には卒塔婆

足は根の様で


間違いない。


殺す気で襲ってくるのを避けながら走り続け、確信した。




『“呼児桜”』




今、付近で話題に上がってる妖怪だ。




『・・・どうする?』




走っても走っても先が見えない闇。

妖怪が人間を襲う事など珍しい事でもない。


しかし・・これは異常だと断言できた・・不自然だ。




【クスクス・・クスクス】




アヤナミちゃーん




『!!』


アーソビーマショ




ガッ!!




『ぅあっ!!』




呼児桜の腕が、まるで鞭のように唸りを上げて、刹那の身体に直撃した。

軽い体は容易に吹き飛ばされ、何もないはずの空間に激突する。


痛みと、少しの違和感




【ドコから食べよう?頭?足?腹カナァア】




クスクス

クスクス


一歩、一歩、


近づいて呼児桜は既に人の形を保ってはいなかった。





一本の樹木。真ん中には目や鼻や口のようなものまでついている。


正に、木の化け物




【クスクス・・クスクス。ヤクソク・・約束・・マモル】




約束・・?



シュッ


ギュルルッ




『!ぐ、』




区の枝が体に巻きついて縛られた。

身動きが取れない


どうすれば・・!




―――・・・




『!?』




今、




【一人目、頭、二人目、首】




ぶつぶつつぶやく呼児桜の口が開かれ、中にはギザギザの歯。


歪(いびつ)に、歪む




【ナナニンメ・・腹】




グパァっと、更に大きく開けられた口

感じた酷い血臭に顔を歪める。


万事休すとはまさにこの事である。




――――・・!




『・・・!』




気が付けば、勝手に口が開いていた。




今世の導きにより、礎の鎖を打ち砕き再び我が元へ降れッ≪妖刀:朝欺霧島(アサギキリシマ)≫――!!!』




瞬間、


眩い光が、辺りを包み込んだ・・!!













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