赤き炎の行方

□夢幻の虎姫
1ページ/1ページ



ふっと閉じていた目を開ければ、窓から入って来る日差しに目を細めた。

どうやら朝のようである。




『?』




自棄に目がしょぼしょぼするなと目元に手を当ててみれば、微かに濡れていた。

泣いていたのか・・・




『何か、悲しい夢でも見たのでござろうか?』




生憎、全く覚えてないのだが・・




「雪村ー?早く起きなきゃ迎えが来るぞー」


『!そうでござった、待たせる訳にはいかんでござる!!』




ガバッと布団から飛び起き、パジャマを脱いで制服に着替える。

通って居るのは近所の公立高校で、左程遠くないし幼馴染たちと通えているので良い事尽くめである。


そして待たせると怖いので急ぐ。

セーラー服の赤いスカーフを整えつつ下へと向かった。




『おはようございまする兄上!!』


「おはよう雪村!今日も可愛いな、流石俺の妹!!」


『今日の朝食は・・スクランブルエッグ!某、好きでござる!!』


「知ってるよ、装ってあげるから手と顔を洗っておいで」


『解り申した!』




ダッと洗面所に駆け込み、手と顔を洗って席に着くと、兄といただきますをして朝食をとった。

美味にござる!!




――ピンポーン




「お、来たんじゃないか?」


『その様でござるな。兄上、行ってきまする!!』


「気を付けて行っておいで。行ってらっしゃい」




兄上の挨拶にふわりと笑みを返し、ドアを開けた。

心地よい、少し冷たい赤茶の長い髪を浚う。







――――――――――
―――――――――――――――――


「あっ!雪ちゃんおはよー」


「遅い」




玄関先で二人の少女が立っていて、その二人におはようでござる!と返した。




「雪村。ちゃんと髪は結ばなきゃ危ないって私、言ってるわよね?」


『うっしかし、長い故結びずらくて・・』


「良い訳無用」


『すまぬぅう』


「あんたの髪は長いから巻きつけたり絡まったりする可能性があるって常々言ってるでしょ?」


「ほらほら霧花。送れちゃうよ?先に学校行こうよ」


「・・・そうね」




仕方ないと一つため息を吐いた黒髪の少女は、行くわよ。っと踵を返した。




『うう、由莉ぃ〜』


「着いたら結んであげるからね!」


『あいすまぬ・・』




そうして、三人の少女は早足に学校へ向かった・・。







「・・・ん。よしと」


「良いわね。・・・雪村、リボンは?」


これにござる!!


「「無駄に声がデカい」」


『(しょぼーん)』




同時に言われて、しょんぼり肩を落とす少女の手からひょいっと青いリボンが引き抜かれた。




「出来た!」




満足気に頷いた栗色の髪の少女、由莉の前には、赤茶色の長い髪を高い位置に一つに結い上げ、青いリボンで結ばれた頭があった。

赤茶の髪に青いリボンが良く映えている。




「やっぱり、雪村と言えばポニーテールね。似合ってるわ」


『ありがとうにござる!由莉、霧花!!』




スクッと立ち上がり、クルクル回りながらお礼を言う。

浮かべる笑みは、太陽に負けない輝きを放っていて、そんな彼女を幼馴染二人は愛し気に見つめた。



真田雪村15歳!!


今日も元気に勉学に励み申す!!




(嗚呼、雪ちゃん可愛い・・!!天使だわ・・!!)


(由莉。顔が酷い事になってるわ)













[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ