五色の天使

□山の守り神
1ページ/1ページ



鳥居の先から人影が見えた。

この鳥居は、楽園と外を繋ぐ扉である。


段々、輪郭がはっきりしてきた。・・・先頭を、走る男の子




「夏梅!」


『兵助!!』




二年ぶりに見る、大好きな人







―――――――――
――――――――――――――――


うん、後ろの男の子達すんごい警戒してる!

苦無構えてるもん。




「兵助・・何だソイツは」


「てか、どうなってんの?さっきまで山の中居たよね?家や畑とか周りに無かったはずだけど!」


「三郎、勘ちゃん」


『まって。それより、山の中を彷徨ってるガラの悪いのは兵助たちの知り合い?』




そう問えば、ピクリと全員の方が動いた。

少なくとも良い関係ではないようだ。




『心配しなくても、ここには入って来れないよ。訳ありなんだよね?』




ジッと兵助を見ながら言えば、彼は一つ頷いた。




「いきなり、ごめん。夏梅・・八を助けてくれ・・」




八、とは同じ顔をしている内の片割れに背負われた彼だろうか。

確かに顔色が悪い




「兵助!」


「勘ちゃん、大丈夫だ。このままじゃ、危ない。俺を信じてくれないか?」




沈黙が、落ちて




「解った」


「三郎!?」


「兵助、お前を信じよう。だが、」




鋭い瞳が、此方に向けられた。




「八に何かあった時、私はお前を許さない」




安に殺すと言ってるのだ。




『解った。兵助の同輩なんでしょう?悪い様にはしないよ』




治療は専門外だけどね




『冬雪』


「ハーイ」


「「「!!?Σ」」」


『聞いてた?』


「勿論ですー。アキねーはもう治療の準備に取り掛かってますよー」


『流石だ・・』


「冬雪・・」


「兵助にーさん、二年ぶりですねー。久々の再会の割に怪我だらけですけどー」


「お前も相変わらずなのだ」


『案内は私がするから、冬雪、春風と一緒に外の様子を見て来てくれる?深追いは禁物よ』


「りょーかいですー」




よっこらしょーと、冬雪はトコトコその場を去った。

マイペースな子である。




『全員怪我してるみたいだし、案内するから着いて来て』




先ずは治療が優先ね!







――――――――
――――――――――――――


『秋陽!』


「来たか・・」




医務室の襖を開け放つと、そこには既に秋陽がスタンバイしていた。




「怪我人はソイツか。そこの布団に寝かせろ。夏梅、我は治療に取り掛かる。他は見る限り軽傷のようであるし任せられるか?」


『一人で平気?』


「問題ない」




秋陽が大丈夫だと言うのなら大丈夫だろう。

ならばと、秋陽の邪魔にならないように兵助と他三人を連れて隣の部屋に移動した。


そこで、手当てを施しながらこうなった状況を出来る範囲で教えてもらった。

うん、大まかには理解した。


本題


三人の眼が、私達と、この空間の疑問を問うていた。

だから、兵助と言葉を選びながら説明をする。


信じるか信じないかは本人次第だ




私達は、真実しか話さない――・・・













[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ