銀魂長編
□銀魂長編/2
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「___…よォ」
____船内を出て、外に出ると広がる踊場。
揺れる船は人気のない港に停められ、まだ朝の静けさが残る。
そんな中響いた、低くよく通る声だった。
やや女物を思わせる紫の着流しに身を包み、朝焼けをバックに立つ。
私達の頭に、私は朝から歓喜な声で返事をした。
「おはよう御座いますッス!晋助様!この早朝から完璧な身形…流石晋助様ッス!」
「おはよーございます晋助さん。寝不足ですか?顔怖い」
頬をやや紅潮させながら挨拶をする私に続き、楠木も相変わらずの口調で話す。
なんなんだこいつは。殴ってやろうか。
「…フン。相変わらずだな」
晋助様がそれに応えるので、とりあえず握りしめた拳は引っ込めた。
朝からあんな意味不明な挨拶にも対応できるなんて、流石は晋助様。
「晋助様…今日もクールでカッコいいッス」
私がみとれていると、
「また子ちゃん、朝から視線でハッスルしてますね」
「うるさいッスね。文の構成おかしいッスよ」
ニヤニヤ顔で呆れた声を出す眼鏡に、構わずツッコミを入れた。
「…なんかまた子ちゃん、最近私に冷たくないです?」
「…………」
もうなんだか面倒になってきたので無視。
「…………」
…あ、ヘコんだ。
「…あァ。それはそうと、晋助さん、私に話があるんでしたよね」
持ち直して、本題に入る。
楠木の顔は少々元気がないが、自業自得だ。
愛用している眼鏡をかけ直し、晋助様の方に向き直る。
「………あァ」
晋助様は煙管の煙を吐き、寄っ掛かっていた体制から楠木を見据えた。
「なんです?話って」
楠木が聞くと、晋助様の口角がやや上がった。
…ように見えた。
そして、うっすらと口を開く。
「…ときに、楠木。お前…バクチは好きか」
____.