曇天に笑う

□第2幕
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曇家ーーーーーー



ガシャン

ガッ

ごっ

バシ




「うーら、どうした腰が退けてるぞ。稽古だからって手ぇ抜いてんのか。」


「うるせぇ!」


バシ

ドガッ


「相変わらず踏み込みが甘いな。
剣に体重が乗ってねぇぞ。」



「ならっ


これならどうだ!」











「甘いって」


パシッ







やべっ!!!


どがっ





「ぶはははははっ

お兄様に勝とうなんざ百兆年早ぇぇーーーー!!!」




曇天神社の敷地にある庭で稽古をつける俺と兄貴。

俺の渾身の一撃は兄貴に軽く交わされ、俺はけつから地面に転けるという大敗をきした。



「たかが稽古だろ!」



兄貴は俺のいう"たかが稽古"に本気でくる。そしていつも負ける。


「弱ぇ弱え!!
ホントお前はぶんぶん刀振り回すしか能ねぇなぁ!
ぶはははははっ」

「ーーーっ」



すごくイラつく言い方しやがって!




「お前の剣は軽いんだよ。そんなんじゃ罪人どころか誰一人相手できねぇぞ。」



「ーーーくそっ」



俺の剣は軽い

らしい。



毎日欠かさず稽古をしているのに俺の剣は重くはならない。まず何が軽く、どうしたら重くなるのかさえ、俺にはまだわからない。


「天火、稽古はいいけど空丸と宙太郎に怪我はさせないでね。」


「確かに。雨唯のいう通り……ってもう遅いか。」


軒先に座りながらこちらの様子を見ている二人の男女 。

こちらを見て微笑んでいる天使のような女性……彼女は俺と宙太郎の姉貴。兄貴の双子の妹。

髪は短く、襟足の部分だけ腰くらいまで伸びているという特徴的な髪型。

肌は、病的なものを感じさせるほど白い。唇はふっくらとし、薄いピンク。瞬きするたびになびくまつ毛は人間のものではないのではないだろうかというくらい美しく長い。

二卵性のため兄貴とは全く似ていない…とは言いきれない。何故なら、性格も顔もどことなく似ているところがあるからだ。

優しい姉貴だが、兄貴に似て意地悪なところがあったり、兄貴が笑うといつも笑顔で微笑んでいる姉貴に似ている。

でも、そんな姉貴が俺は大好きだ。
異性としてじゃないからな!
姉弟として好きなんだ!


「空丸、なんだか百面相してて面白いわ。」

「本当だ。何してるんだろ。」




姉貴の横に正座をしてお茶を出している男性の方は金城白子さん。
俺が幼い頃に兄貴が拾ってきた人。
彼は居候だと言っているが、俺はもう家族だと思っている。

白子さんは勉強もできて家事もできる。唯一出来ないことがあるとすればお菓子以外の料理を作ること。

姉貴より下手くそな人は白子さん以外、いないだろう。
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