曇天に笑う
□第2幕
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ん?
なんで軒先にあいつらまだいんだ?
先ほど罪人を取り逃がしてしまった二人がなぜかいる。それも何気なく姉貴の横に座りやがって。
あいつら絶対姉貴に気がある。
昔はそんなに男は寄ってこなかった。(シスコン兄貴もいるしな)
今は天使のように微笑んでいるが昔は無表情だった……はずだ。小さいながらになぜこんなにも愛情をくれる姉は無表情なのだろう、と思ったのを覚えている。
美しかったが無表情な姉貴に近づくやつらはいなかったんだ。
そう。
姉貴は昔は無表情だった。
それでも俺の手を握り、宙太郎を抱っこして一緒に歩いてくれた姉貴。
でも
いつからだろう。
姉貴がどんなときも笑う
ようになったのは…
「足手まといはいらねぇ」
いつからだろう。
兄貴が一人で
すべて抱えるようになったのは…。
いつからだったろう。
兄貴も姉貴も
弱みを見せなくなったのは。
いつからだったろう。
全然思い出せない。
でもわかることがあるんだ。
兄貴が突き放すような云い方をするのはまだ俺らが守られているからだ。
姉貴がどんなときもいつも笑うのは俺らを守るためだ。
だから俺は
強くなりたいんだ
頼ってもらいたいんだ
俺だって守ってやりたいんだ
だって俺は
曇家の男なんだから。