月に寄り添う太陽
□再会
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……教科書を読み始めて、どれくらいの時間が経っただろうか。
既に列車も発進したため、あれだけ騒がしかった列車内も今は静まり返っている。
殆どの子供たちは既にコンパートメントに入ってしまったのだろう。
一人ぼっちのコンパートメントは、その静けさも相まって余計に寂しい。
「……遅い。」
一体どこで何をやっているのか。
帰ってこない片割れにため息をつき、再び教科書に視線を落とす。
ページを捲る音が、やけに大きく感じた。
「友人でも見つけたか……?」
同じ入学生であるリリーにセブルスも、列車内に乗っているに違いない。
もしかしたら、彼らを見つけて今頃は一緒に行動しているのだろうか。
それは構わないが、しかしあの瑠依である。なんとなく不安だった。
「……まぁ、帰ってくるとは言っていなかったしな。」
どうせ瑠依の荷物はここにある。制服も然り。
列車がホグワーツに到着するころには、一度戻ってくるだろう。
再び教科書に集中しようとした、その時。
突然、コンパートメントの扉が開いた。
「……お前。」
「お前じゃない。セブルスだ。」
扉の向こうには、いつかの少年がそこにいた。