月に寄り添う太陽

□ウィッチ・ウィザード
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「……いつまでもこのままじゃ、いけないよな。」

「え、今何か言った?」

「いや、何も言っていない。ほら、一緒に準備するぞ。」

瑠依の両親も、この状況を是とは考えていないだろう。
せっかくイギリスへ来たというのに、自分たちの世界に籠りっぱなしでは日本にいたときとまるで変わらない。

お母さん……瑠依の母親に言えば、語学勉強用の教材くらいは用意してくれるだろうか。
これからの生活になんとなく憂いを感じ、床に座り込みながらふと窓を見上げると、二つの物体が目に留まった。


「……ん?」


それは、二羽の梟だった。
黒と白、対照的な彼らの嘴には、それぞれ手紙らしいものが一つずつ咥えられている。窓枠に手紙を置くと、彼らはせわしなく窓をつつき始めた。


「な、なに!?」

「梟だ。窓を見ろ。」

「え?あ、本当だ。なんでこんなところにいるんだろう。」


確か梟は夜行性ではなかったかと思案に耽っていると、さっさと開けろと言わんばかりにつつく速度が速くなり、窓がうるさく音を立て始めた。
あわてて窓を開くと、二羽の梟はほぼ同時に部屋のなかへ手紙を放り投げ、そのまま空へと飛び去って行った。
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