□綺麗な貴方
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死臭のたちこめる部屋には私と貴方。

貴方の頬に手を伸ばせば触れられるはずなのに届かないようで。
あと少しあと少しと必死に指先を伸ばせば貴方の頬。
私は触れました、大事に大事に触れました。体温の感じない貴方の頬に、唇に、指先に、愛しいものに触れるように。
でもまだ満たされない。
汚れた手がまだ、まだ、と貴方に触れて、
綺麗な貴方を蝕んでいく。

残ったのは虚しさでした。

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