□【春待ち】うちはコンビニじゃないんだぞ【全年齢】
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「そこにコーラあるだろ。」

アルフレッドが指差したのは、ベッドの脇にある机の上のペットボトルだった。

「それ、飲んでいいから。」

そういうとベッドに戻り、布団の中に潜り込んだ。

イヴァンはしげしげとペットボトルを眺め、その中身が半分ほどに減っていることを確認した。

―飲んでいいっていったって、飲みかけだよ。アルフレッド君。

アルフレッドはすでに、気持ち良さそうに寝息をたてていた。

コーラのラベルに記載してある注意書きに意味もなく目を走らせた後、イヴァンはキャップを開けた。

「いただきます」

イヴァンにとって炭酸飲料はどれも同じようなものだったのだが、そのコーラを飲むと特別な気持ちがした。

「・・なんだかぼくまで眠くなってきちゃったよ・・」

普段アルフレッドかかけているメガネを手に取って、観察する。

― 今日は、家に帰りたくないしなあ。

落ちていた毛布を手に取り、イヴァンは床で寝る決意をした。

「アルフレッド君、おやすみ」

イヴァンがもそもそと床に寝転がったそのとき。

ゴツン、という鈍い音がして、ベッドからアルフレッドの体が落ちてきた。

「いたっ・・」

イヴァンの腕は、アルフレッドの下敷きになっていた。

「アルフレッド君・・重いよ・・」

アルフレッドは、それでも目を覚まさないで規則正しい寝息をたてていた。

「もう。しょうがないなあ」

イヴァンは、アルフレッドの背中と膝の下に腕を差し込んで持ち上げようとした。
アルフレッドの腕は、重力に従って垂れ下がった。

「ちょっと重い・・」

やっとの思いでアルフレッドをベッドに戻すと、イヴァンは汗だくになっていた。

「こんな重いもの持ったの久しぶりだよ・・」

荒く息を吐いて床に座ろうとすると、マフラーがどこかに引っかかっていた。
アルフレッドが、マフラーの端を硬く握っていた。

「アルフレッド君・・・?」

アルフレッドは薄く目を開くと、自分の体を壁際の方にずらした。

「ぼくも一緒に寝ていいってこと?」

寝ぼけているアルフレッドは、微笑んでいるように見えた。

イヴァンがおそるおそるベッドの上に乗ると、アルフレッドが体に抱きついてきた。

アルフレッドの体温を感じて、イヴァンは少し気恥ずかしくなった。

「アルフレッド君。」

呼びかけても、返事はない。

イヴァンがアルフレッドの腹に触れると、わずかに反応があった。

その感触に味をしめ、イヴァンはしばらく腹をつついていたが、そのうち飽きて眠ってしまった。
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