暗殺と変態と美少女と

□出会い
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とある国のとある街。

昼間からお金を稼ごうと街に出た。

お金は盗めたものの、あまりにも一瞬すぎてひまつぶしにもならなかった。

「あーあ、つまんないなー」

足をバタバタさせながら、小屋の屋根からさきほど自分が殺した人間たちを見下ろす。


「ハンターだっていうから、ちょっとはひまつぶしになるかと思ったのに」


人はなんて脆いんだろう。

ちょっと力を出せばすぐに死んでしまう。

もっと強い人に会いたい。

空を見上げても青色が続いているだけで、何もおもしろくないし。

それでもひまだからぼーっと空を見上げていると、人の気配に気がついた。

「これは…」

場所は少し離れているが、この気配はかなり強い。

どこだろう?

気配をさぐりながら、移動する。


小屋の屋根から民家の屋根へ移り、道路に飛び出る。

そのあともう一度民家の屋根に登ると、気配が濃くなった。


あ、あの人だ…


この気配はあの人のものだ。


こちらに背を向けているが、間違いない。

黒いロングヘアだけ見れば女性のようだが、体格からして男だろう。


私は民家の屋根から彼を見続けた。

こっち向かないかなぁ、なんて思っていると、私に気づいたのか、男の人が振り返った。


「…!」

私は衝撃のあまり、屋根の煙突に身を隠す。

なに?

なに、あのイケメン!

いや美形!!

美しい!美しすぎるんですけどおおお!!!

白い肌、高い鼻、大きな目。

やばい!

ドストライクだ!!

鼓動がどんどん早くなっていく。


これが世に言う


恋?


「恋…恋だよ…!」


もう一度彼を見ようと思い、少しだけ顔を出したが姿はなかった。



行っちゃった。
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