〜雪風に召喚された灼装〜

□第01話 召喚
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第01話 召喚
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───魔法学院・広場
 進級試験。魔法学院に通う生徒が進級の際に最初に受ける試験。
 その試験は『使い魔召喚』といい、最も重要視される試験である。この試験が重要とされる理由として、『召喚した使い魔の属性により今後の習得する魔法を絞る』ということ。
 そのため皆が慎重にその試験を受けていた。

 しかし一人、広場の隅に座り読書する青髪の少女は違った。
 その少女の名は『タバサ』といい、偽名である。
 彼女はその試験の召喚の儀に不安を持っていた。偽名で使い魔を出来るだろうか、という不安だ。
 他の生徒達が次々と召喚に成功している中、彼女は無表情の仮面を着けたように本の頁を捲る。試験の日になるずっと前からその不安を気にしていた。
「ミス・タバサ」
 試験官をしている先生、ジャン・コルベールが広場の中央から次の人を呼ぶ。
「タバサ、貴女の番よ!貴女の使い魔なんだからきっと凄いのを召喚するわね!」
 タバサの隣に立つ、親友のキュルケが言った。タバサは頷き、本を閉じて立ち上がる。
 タバサの成績は先生からも評価しており、『彼女は優秀だからきっと凄い使い魔を召喚するだろう』と期待され、他の生徒達からも注目の一人として見られていた。

 タバサは広場の中央に立ち、目を閉じる。そして自分の右手に持った、背丈程ある杖をギュッと握り締める。
「我が名はタバサ、五つの力を司るペンタゴン。我が運命に従えし使い魔を召喚せよ」
 教科書通りの呪文を唱え、軽く杖を振る。すると目の前に魔方陣が輝き、同時に光の球体が辺りを照らしたかと思うとゆっくりと光は消え、その中から青い龍が姿を現した。
 それを見たタバサは「……成功?」と口から言葉が零れた。そしてそれが自分が召喚した龍とわかり、少しホッとしていると、他の生徒達が龍の足元を見ながらざわめき始めたのに気づき見てみると、そこには全く予想していなかった事が起こっていた。
「平、……民?」
 自分の召喚さた龍の足元にどういう訳か『人間』が倒れていた。しかしよく考えてみると、その人間も、何故かはわからないが彼も一緒に召喚してしまったんだとわかった。
 どうすればいいかわからなくなったタバサは先生を呼ぶことにする。
「コルベール先生」
 先生は人垣をかき分け出てくるが、先生も悩んだ顔をしていた。そして眉間に皺を寄せ数回頷いた先生はタバサを見て口を開いた。
「儀式を……続けなさい。神聖なものですからね、途中で中断してしまったら神に対する冒涜になってしまいますからね」
「わかりました」
 タバサは龍と契約の儀を交わした次に倒れた彼の隣にしゃがみ、起こそうと肩を揺さぶろうとした。
「これ、は……?」
 肩に触れた時、気付けば彼の襟元が血で滲み、背中へ広がっていた。
 タバサは急いで契約の儀を終わらせ、先生にお願いして先に部屋へ行く許可をもらい、彼を連れていった。

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