〜異界の地で精霊に出会った〜

□第03話 初めての修行?
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第03話 初めての修行?
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 俺は一体……何をしてるんだろう……。龍燕は画面の中にいる少女を口説いている。これはあの人達が精霊達を救うのに必要な知識がつまった電子遊戯と言っていたが……それをはじめて三日が経った。
 最初の二日は訳がわからず、頭を抱えた。
 そして……初めてから三日目の早朝。その修行を達成し、龍燕は今までにやっていた修行で何らかを達成した時も涙を流すことは無かったが、この修行の達成直後に自然と涙を流してしまった。
「やっと、達成した。やっと休める……」
 そのあと龍燕は半日以上死んだように眠った。


 次の段階だと言われ、学校という訓練校へ通うことになった。
 龍燕は初めて訓練校に通い、少々緊張したが副担任に解析官殿が来たが自己紹介中に倒れたのは驚いた。
「解析官殿が副担任になるとは思わなかったな」
「予想外だったか。しかし考えてみるがいい。緊急時に船との連絡がとれなくなった場合、私のように君の近くにいれば多少の支援ができる」
「なるほどな」
 龍燕は納得する。
「さらに驚いたことがあるんだが」
「ん?そんなに予想外だった?」
 棒つきの飴をくわえた琴里が龍燕の後ろから近づいた。
「たしか前にいくつか訓練をすると言っていたな。次は何をするんだ」
「次、ね」
 琴里は笑いながら飴を口で転がした。


「先生、少しいいですか?」
「はい。龍燕君、どうかしましたか?」
 琴里に、次の訓練は精霊を口説く前に人を口説けだそうだ。人を一人口説けないようでは精霊を口説く事はできないとの事というが……。
「あの……どうかしましたか?」
「あ、はい。ええと……」
『ちょっと龍燕、何してるの?早く口説きなさい』
 そんなこと言われてもなぁと思いながらも、龍燕は深呼吸して頭を切り替える。
「先生、その服可愛いですね。とても似合ってます」
「え?本当ですか」
 あの電子遊戯で、女性の服を褒めるのが最初にとあった。実際に使い見てみると先生は喜んでいる。まぁ誉められてがっかりはそうそうないだろう。
 そして龍燕はふと思った。この状況……で何を言えばいいか。あの電子遊戯からいまの状況に応用できる場面が無かった。
『お困りの様だね、シン』
 困ってはいるが……シンは俺のことか?
『初めての実戦訓練だ。だから私が支援しよう。私の言った通り復唱したまえ』
 令音の助けに有難いと龍燕は思った。
「俺はこの学校に転入して、先生のクラスに入った時からいつも楽しいんです」
「そうなんですか」
「はい、……先生が担任だったから」
「え…っ?」
 先生は驚きの声を上げ、目を見開いた。
「な、何を言ってるんですかもぅ。急にどうしたんです?」
 そう言いながらも、先生はまんざらでもない顔を作る。龍燕はさらに令音の言葉を復唱した。
「実は、初めて見た時から……先生の事が」
「ぃいやはは……だめですよぅ。気持ちは嬉しいですけど、私先生なんですからぁ」
 先生は出席簿をパタパタしながら苦笑する。龍燕は令音の次の言葉を待つ。そしてほんの数秒経ち、言葉がきた。
「俺、本気なんです。本気で先生と……」
「えぇと……困りましたねぇ」
「本気で先生と、結婚したいと思ってるんです!」
 結婚の二文字に先生はピクリと、微かに反応した。そしてしばしの間黙った後、先生は小さな声で龍燕に言った。
「……本気ですか?」
「え、えと……はい」
 先生の変化に驚きながらも龍燕は頷いた。
「龍燕君が結婚できる歳になった時私は、三十を越えてますよ?それでもいいですか?」
「好きに、歳は関係ありません」
「本当ですか?信じていいんですか?」
 龍燕は一度目を閉じ、そして再び目を見開き答えた。
「構いません」
「わかりました!少しいいですか?まだ婚姻届が書ける年齢出はないので、とりあえず血判状を作っておきましょうか?」
「え……」
『あー、必要以上に絡まれても面倒ね、とりあえず適当に謝って逃げちゃいなさい』
「(この状況で?)」
「美術室に行って彫刻刀を借りてきましょうね。大丈夫ですよ、痛くないようにしておきますからね」
「っ、先生……すみません」
「え……?」
 龍燕は自分の精神力を先生の体に流し、先生の精神力に微動の揺らぎを与えて気絶させた。
『ちょ、龍燕?何して……』
「大丈夫ですか?先生」
「……っ……う、ん…………龍燕君?」
「偶然近くで通りかかった時に、先生が倒れたので心配しましたよ?」
「……あれ?わたし、倒れたんですか?……なんかいい夢を見ていたような……」
「いい夢はいいですが、危ないですよ?たぶん疲れが溜まってるんですよ」
 先生はうーん、と思いながら心配かけてすみませんと立ち上がり、龍燕と別れた。
「ふぅ……よかった」
 龍燕は額の汗を拭った。
『龍燕。先生に何をしたの?』
「先生の精神体に俺の精神力を流して微動の揺らぎを与えたんだ。それで意識が一瞬途切れ、記憶も少しばかり曖昧になったんだ」
『それでさっきのを夢と思ったの?いやそれより、大丈夫なの?』
「もとは精神体を強くする鍛練のようなものだから心身共に問題ない」
『ならいいけど』
 琴里司令から今日は終わりにするから戻りなさいと言ってきたため、龍燕は了解と返して物理準備室へ戻った。
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