〜異界と繋がれた扉〜

□第09話 帰還。そして羅暁へ
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第09話 帰還。そして羅暁へ
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「もう着いたのか、アルヌスに……あれは?」
 イタリカを出発して僅か数時間でアルヌスに到着した事に驚きの声を漏らし、窓の向こうアルヌスを見る。がそこには巨大な建造物、明らかに帝国の建築物とは異なるものが建っていた。しかもそれは実際建っているところからこちらまでかなりの距離が離れているが、その大きさから物凄く高く、物凄く大きい堂々な存在感を出していた。
「あの、建物は何か?」
「あれはここでの本部の城、特地総統本部。本城を中心に、八方に支城をおいた羅暁でよく使われる配置の城」
「本部……城……」
 一番外側の水堀を渡って入り、内へ入る。そして開けたところで丁度機甲(戦車)隊が走行訓練をしていた。
「「……」」
 そしてまた違うところでは航空機動隊のや武装機動隊の教練風景などを見て通った。
「なんだあれは……人が空を飛んでいる?空を飛ぶのは龍燕殿以外にも皆が飛べるのか?」
「あれは武装兵装という鎧を纏っている。全ては『電力』というもので動かしている」
 レレイの説明に殿下は電力?と復唱した。
「雷に似たもの。しかも普通の雷よりもかなり強力なものと聞いた。その力をあらゆる方面で使い、工夫している。それに一人一人も技を磨いている。力に技を使ってさらに上の力を得ている。それから龍燕のように魔法ではない力を持つ人も多いみたい」
「魔法ではない……力……。なぜ、なぜあんな連中が攻めてきたんだ?」
「帝国は鷲獅子(グリフォン)の尾を踏んだ」
 レレイの言葉に殿下は下げていた視線をレレイに向けて指を指して怒鳴った。
「て、帝国が危機に瀕しているのに、帝国市民としてその言い草はなんですか!」
「私は流浪の民、ルルドの一族。帝国とは関係ない」
「はーい、私はエルフでーす!」
「フッ」
 聞いていた二人まで帝国とは関係ないと声をしてきた。殿下は諦めて静かに下を向いた。
「(帝国は国を支配すれども、人心は支配できず……か)」

 そして視界が建物の中に入ったため、殿下は気になり声を出した。
「着いたのか?」
 レレイ達も初めてのところだったため、窓から周りを見回している。
「これから本部のある中央区まで地下の電車というのに乗る」
「地下のでんしゃ?」
「こういったのも乗れる籠がある。外でこれより大きな筒持ちの教練風景を見ただろう?あれを中央区から各外側へまたは中央区へ素早く移動できるように籠があるんだ。その籠に乗せてもらう」
 少しして停車位置に止め、信号を確認し移動して籠にガタリと乗った。
「「……」」
「これはこういった車両だが、もちろん人送用のもある。帝王議会に出席するなら移動の際に体験できる」
「それは……楽しみだな」
 殿下と護衛が興味を持ったみたいでじっと見ている。レレイも窓を変えながら見ていた。
「今移動状況を手に入れた」
 そう言うと龍流は入り口から中央区の出口までを光線で構成された立体空間ディスプレイを表示した

「これが……ここの辺りの図形なのか?浮き出ている……。これは魔法なのか?」
「いや科学だな。で、この色が濃くて動いているのが今いる籠。薄くて動いている籠は別の籠だ」
「おぉ」
 レレイが凄く興味を示した。
「……これは軍事でも利用されるのか?こんなに細かく……」
「多方面でよく使われている。軍事というか、戦いの時でも使っているところは多い。しかし、事前に読み取り……空間把握というので調べないとならないがな」
「……」
 殿下は静かに見つめていた。


 中央区の出口を出て、龍燕は殿下と護衛を特総長室のところへ向かい、他は特地に新しくできた組合へ向かった。

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