「えっ」 腰を掴まれて、またあの硬い皮膚に包まれる。今度は身体全部が。それから足の付け根に熱いのが触れる。太くて硬いの。 「な、に、うあ!」 バルドは思い切り腰を引いて、今度はバチンと音が鳴るくらい強く打ちつけた。何度も何度もする。僕のにも触れる。せっかく下がった熱がまたせり上がっていく。 「や、僕、また、ああんっ」 振り子のように揺れる僕の熱は、バルドので更に加速をつけた。ピンク色から赤くなって、赤黒くなる。なんて事だ。僕はまた、風邪を引いてしまっていた。 「く、フィニ、フィニ」 「んあっ、あ、ふあ、バルド、さっ」 白いのが同時に出て、僕のと木に掛かった。これはとんでもない。風邪のばい菌を、よりにもよって坊っちゃんの庭の幹に二度もくっつけてしまうなんて。どうしよう、どうしよう、どうしよう。 「何考えてたんだ?」 「え?」 「擦ってた時」 「うーん」 「オカズだよ、エロ本はねえみたいだし」 「何それ」 「まさかメイリンて事はないよな?」 風邪を引いた原因。よくよく考えてみる。初めてこうなった時、二回目、三回目、四回目。今日の事も。 「フィニ?」 これだ。 「バルド」 「あ?」 「バルドが僕を呼ぶから」 へえ、なるほどなって、僕の髪をクシャクシャってして、バルドが屋敷に戻るから、僕もまたその声が恋しくて、後を追う。 とうとう風邪の正体を突き止めた僕が、片想いを経て、バルドから両想いっていうのを教えてもらうのは次に風邪を引いた時だったりして。 end. |