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□Marking
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身体を繋ぐより、心を繋ぐ方がよっぽど難儀だ。



最初にそう思ったのはいつだ。
イル兄に組み敷かれる度に痛烈に呻く心は、その甘ったるい身体とは裏腹に俺を苦しめた。それでも、彼のものを頬張っている時に限っては、涙腺を刺激するほどに満たされて、喉に詰まらせて窒息したいくらい。俺はフェラチオが好きだった。

「んんっ、ぐあ、ん」

「そんなに俺のが美味い?」

「ふんぅ、ん、あぁっ」

正直言ってそれはこの世のものとは思えないほどに不味い。

「それともキルはこうするのが大好きな淫乱なのかな」

彼のものを出し入れしながら上手く聞き流す。彼がそう言うのならばそうなのかもしれない。俺は彼が好むならば、淫乱だって、売り専だって構わなかった。

「すごく上手だもんね」

褒められると満更でもなくて、口の動きを早めると彼は一層表情を歪ませる。毎度この優越感が堪らない。



「キル、もういいよ」

彼は跪く俺を優に抱き上げて、ソファの背もたれに手を掛けるよう誘導する。虚ろに起立する俺の右足を乱暴に肩口まで持ち上げて、彼の湿った昂りは否応なしに俺の中に突き刺さった。

「ああっ」

殆ど慣らされていないそこは鮮血を滴らせながら、それでもなおひくひくと快感を探る。ほら見ろ。セックスなんていとも簡単にできてしまう。

「あっ、うん、ああっ」

「キル」

背中を掠めるイル兄の長い髪がくすぐったい。まるで触手のよう。彼の激しく前後する腰に合わせて、それもまた踊った。

「深い、ん」

「そんなに締め付けないでよ」

すぐ出ちゃいそう、なんて嘘を並べて腰の動きを早める彼は珍しく息が上がっていて、早くては困るなあ、とこちらも心中嘘をついてみる。本当は今すぐに何度でも出してほしいんだ。笑ってしまう。彼に必要とされたくてこんなにも間抜けな妄想に耽っている。


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