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□春と
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「えっ」

一転、晴人の身体は宙に浮いた。

「いただきます」

ベンチがまたギシ、と音を立てる。成人男性一人押さえ込むのだ。今度は大袈裟などではない。
晴人をベンチに縫い付けて、首筋に顔を埋める。攻介の右手はまだ先のなだらかな乳頭を捕まえて、指の腹で緩い刺激を与えている。捲り上げられた脇腹からそよ風が入ってくすぐったい。晴人は眉を寄せて強く瞼を閉じ込んだ。

「こっち向けって」

「やっんん」

「声も聞かせて」

「はあっ、あ、こうす、け」

「なに?」

「ああっ、それ、やぁん」

「これ?」

唇で挟み込んで、軽く吸いながら舌をちろちろと動かすのが好きらしい。いい時に嫌々と言うのは日本人の特性だ。攻介は平らな胸をまさぐるのが楽しくなりつつあった。強く揉みしだくことはできないが、頂きは女よりずっと顕著に反応してくれる。

「ん、んんっ」

「声」

「おま、アッ、ここ、屋上」

「わかってる。皆まで言うな」

「わかって、ない、だろっ、ふ、ううっ」

「だって晴人がよく見える」

毛先の遊んだ茶髪が晴人から剥がれていく。攻介の澄んだ瞳に、晴人の痴態が収まった。死んでしまいたい。自分の、お仕置きなどとアブノーマルな企てを棚に上げて、晴人は心底羞恥に乗っ取られていた。まだ日は高く、空気も暖かい。外、昼、処女喪失。条件は何一つ整わない。それでも攻介は舌舐めずりをして、得意気に両乳首を抓り上げる。

「ひゃんっ」

身体を仰け反らせて少し大きな声が出る。下着が貼り付いてきてどうにも不快だ。服を着ているのも苦しいくなってきた。

「出んじゃん」

カチャカチャと音を鳴らして攻介の中指が下着に入り込んでくる。性器に触れるとまた晴人がびくりと身体を震わせた。一気に足元まで下ろしたボクサーパンツは先走りで汚れている。当然晴人自身にもそれはまみれていて、攻介の一挙一動にとくとく、と生成されていた。余り大ぶりではないが、綺麗だ。攻介は自分のものをそうするように、掌全体でゆっくりと扱き始める。

「う、あっ、焦らすなよ」

「了解」

攻介は催促されるまま濡れた指先を晴人の後ろへ伸ばしていった。一本を余裕で迎え入れるそこに、早急に二本三本と数を増やして内壁を這い回る。

「んっあ、そこ」

「ここ?」

「あんっ、そこ、もっと奥」

滅茶苦茶に指を動かす攻介にしびれを切らして晴人が一喝する。前立腺の在り処は自分が一番よくわかっている。見縊ってほしくない。攻介を待った半年間は延々と行われる焦らしプレイのようだった。今回ばかりは、皆まで聞いて、懺悔してほしいのだ。


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