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□マッドロマンチスト
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「でも僕女の子知らないです。ふわもちぷるーんなお尻どうなってるですか?」

どうなってると聞かれても、俺は亜豆とそういう仲ではないし、今まで他の女性も、AVも碌に観た記憶が無かった。
言われてみれば、エイジは恋愛ものが極端に苦手である。特に女という人種が未知で、自身の作品においても殆ど女性らしい女性は出てこない。それでも個々のキャラ立ち、ストーリー展開は流石で人気を博してはいたが、更なるファン層の拡大へ避けては通れないと覚悟を決めたらしかった。

「俺も実はよくわかりません。でもエッチな女の子って言っても、その、本当にエッチするわけじゃないですよね。ジャンプですし。お尻だけなら男とそんなに変わらないんじゃないですか?」

「なるほど」

「そうですよ。それになんとなく丸みをもたせて、必要に応じて括れさせれば何の問題もないです、きっと」

「ふーむ」

エイジは羽箒を上唇に乗せ、腕組みしながら片目を閉じた。何やら妄想に耽っている様子。

「ピッカーン!閃きました!亜城木先生、お手すきならばモデルになっていただけないです?」

「は?」

「僕、男のお尻もよく見たことないです。自分じゃ見えづらいですし、ドキドキしないとつまらないです」

そしてこの誘い文句である。俺はエイジのこの手の知的好奇心にめっぽう弱かった。

「でも、いきなり、その」

「大丈夫です。みなさんお家帰られましたし。ちょこっとデッサンするだけです。僕、描くの早いです」

「それは知ってます」

「はっ!こんなところにVパンが!」

「嘘でしょ!」

「僕が小学生の頃にはいてたお気に入りです。さすがにマッパは恥ずかしいので、とりあえずこれで我慢してください」

「どっちが!」

「ほらほら亜城木先生。僕後ろ向いてるですからその隙に」

「ああもう!」

だからこうなる。

「ちゃんと着替えられたです?」

羞恥が過ぎて言葉も出ない。どうして俺はスランプにわざわざ新妻エイジの自宅まで来て、膝を擦り合わせながらTシャツの裾を伸ばしてるんだ。

「言わないと見ちゃうですよ?」

とか言いつつ、もうすでに指の間からこちらを覗いているのがバレバレである。

「わあ!亜城木先生すごいです!エッチです!僕、感動しました!」

「それ褒めてないですからね」


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