「あんぅっ」 ジャンが耳を舐りながらとうとう右手を僕に触れさせた。勃っているのは分かっていた。だからこそ、触れられたくなかった。男で、しかもジャンにほんの少し触られただけで勃起すると知れたら卑しまれるだろうか。淫乱で、好色家で、救いようのない変態ホモ。しかも女装までしてだ。見苦しい。 「勃ってんな」 「見な…で」 「綺麗な色」 「やあっ」 それでもジャンは手を止めなかった。それどころか、むしろ上体を屈めて僕の股間に唇を寄せてくる。 「エロい匂いがする」 「だめ、あ、ジャン、そこは」 睾丸の方から裏筋をつう、と舐め上げられ、終いにジャンはカウパーでぐっしょりと濡れた僕の亀頭を一思いに頬張ってしまった。 「ん、らめっ、あ、あンッ」 「ふんっ、ん、んん」 「やらぁ、も、イっちゃ、うぅ」 「んん゙っ」 余りにも早漏だと思う。先を咥えられ、二、三往復しただけで僕は呆気なく射精した。しかもジャンの頬を掠め汚している。とてつもない罪悪感と自己嫌悪で気が変になりそうだった。涙が止まらない。 「ごめっ…ジャン、僕、ジャンが好きなんだ」 「えっ」 「だから、ごめん、本当」 「アルミン」 「ごめんっ、気持ち悪くて、ごめん、ごめんなさい……」 どれだけ泣いていたのか知れない。ふざけて施されたチークも、グロスも、できるだけ愛らしくあるように、女の子たちにしてもらった細工すべてが崩れて今にきっと殴られる。僕は両腕を顔の真ん前で組んだ。 本当に気持ち悪い。気持ち悪いくらい、僕はジャンが好きだったから。 「……っアルミン」 そしたら抱き起こされたんだ。僕の顔を厚い胸板に押しつけて、ジャンは僕をきつく抱きしめながら頭を撫でてくれた。一瞬で涙が乾いたよ。あったかくて気持ちいい。どきどきするのに、安心できるジャンの匂い。思わず僕もジャンの背に手を回した。 「気持ち悪かねーよ全然。可愛い。可愛すぎる…お前」 「ジャン……」 「何も言うな。抑え利かなくなんだろうが」 ジャンの手が傷つけまいとして、優しくフレアスカートの中に潜るのを感じた。気を遣っている、というよりは怯えているような手つきだったよ。だからなんとなくだけど、ジャンも初めてなのかなって察しがついた。 ジャンの無骨な指が性器の裏を這って行って、ちょうどお尻の穴のあたりでもぞもぞしてた。たぶん、入れたいんだ。中に指、突っ込む気なんだって思った。力を抜かなきゃいけないと思ってはいても、やっぱり怖くてジャンの身体にしがみ付く。 「やさしくすっから」 「う、ん」 |