「ふっ…ん」 「ん、んん…っは」 考えているうち、ピトーの手が首筋をなぞって俺の顎を掬った。辛うじて合わさっていた唇から、舌を引きずり出されキスが深いものへと変わる。粒だった両胸の先を焦らすように嬲られ、デニム越しの自身を撫でられると同時に俺は我に返った。 「んっ…はあ、ン、いけませんっ、見られて」 「大丈夫」 カイトに見られている。耳朶をしゃぶられ、孔に舌が入ったことで向けた真正面に男の顔を見止めた。皆干渉しないとは言え決して表沙汰にならなかった俺たちの関係である。第三者が立ち行っては事だ。そう察するや制止しようとする俺に、ピトーは被せるようにして暗示を与えた。 「これにはもう感情が存在しない。僕が扱いやすいようカスタマイズしたからニャ。あるのは本能と粗末な戦闘スキルだけ。見られたところで何ら影響はニャいよ」 自分の曝している痴態とピトーの理路整然とした様子が余りにも対照的で、俺は唇を噛みながらそのテノールの言いなりになる。覆っていた手を退き、ピトーが俺のペニスに触れた。 「あっ、だめ」 「どうして?もうこんなになってるのに?」 「ああ、ピトー殿、あんっ」 「腰動いてるよ、気持ちいいの?」 「ン、あっあっ」 「僕に捨てられると思った?それとも、カイトに見られて興奮しているの?」 「違っ、んぅ、やっ、や、あ、やぁあっ」 怒濤に快感が駆け巡ってわけもわからぬまま、しかし30センチ前方には確かにカイトが座っていて、その縦割れした腹筋は卑しい自分の精液で塗れているのだ。俺は激しく狼狽して取り留めのない謝辞を述べるしかない。 「申し訳ございません。なんとお詫びしてよいのやら」 「構わないニャ。それより……」 すぐに聞き入れられ一度は安堵したものの、ピトーの発言と共に視線を前へ戻した俺は再び息を飲むこととなった。 「いつもは僕が寝かせている間ひとりでに勃起して射精してしまうんだけど、ヂートゥを見て興奮でもしたのかニャ?」 カイトの履く漆黒のスラックスは白濁の垂れた先でこんもりと山を成している。表情や声にこそ出ないが、息を荒くして頻脈に身体を上気している様はなんとも不気味でさすがの俺も少し後ずさった。 「面白くないニャー。ヂートゥはこれに見られてイっちゃうし、人間の分際で僕のヂートゥをおかずにしようなんて」 「そ、それは、違」 「見せつけちゃおうか」 引けた腰にピトーの猛々しいものが当たって不謹慎に胸が高鳴る。それから上手く上体を倒してベッドに寝転ぶと、ピトーはごく自然に腕を差し出して俺をそこへ招き入れた。 |