頂き物

□Hold me tight
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「ん…」

ジョセフは寝起きで微睡む意識の中、寝る前にはなかった温もりが隣にあることに気付いた。

それは同居人であるシーザーだった。

ジョセフはシーザーが帰ってきていたということに驚きはしたが、同じベッドで寝ていたということには驚かなかった。

何故ならここはシーザーの部屋でベッドもシーザーのものだからだ。

「…やっと起きたか」

「んー帰ってきたなら起こしてよ」

「いや、お前があまりにもぐっすり寝てるからな」

そのままつられて寝ちまった、と言いながらギュッと抱きしめられる。

この時期不快に感じるはずの熱が今はとても愛おしいものに感じた。

再び眠りに落ちようとしているシーザーの腕からそろりと抜け出したジョセフは 自室に戻ろうとした。

が、気がつくとベッドの、シーザーの腕の中に戻っていた。

「どこ行く気だよ」

不機嫌そうに腕の力を強める姿はまるで逃がさないとでも言っているようだ。

「だって、暑苦しいだろ?ベッドだって狭いし…」

「それならアレが解決してくれる」

シーザーが指差す方向には夏の必需品、エアコン。

「エアコンがどう…」

言いかけて気付いた、この部屋の違和感。

「さっぶ!!この部屋めっちゃ寒くない!?何度だよ」

「20℃だ」

ジョセフが寝る前に起動させたときは27℃に設定したはずだったが、しれっと驚きの数字を口にするシーザーに呆れた。彼の行動が理解出来ない。

「なんでそんな事…」

「何故って?それはな、」

先程とった距離を詰められまた抱きしめられる。ついでに足も絡めてくる。

「こうすれば一緒に寝てくれるだろ?くっついても暑くならない」

耳元で囁かれ耳朶を甘噛みされたジョセフは自分の体温がドッと上がったのが分かった。

「〜〜〜ッ///よく恥ずかしくないねシーザーちゃん」

女の子にもこんな事してるの?聞こうとしてやめた。もしそうだと言われたら落ち込んでしまうのが目に見えたから。

顔に出てしまっていたのか、シーザーはフッと笑うとジョセフの頭を抱き込む。

「安心しろよ。こんな事するのお前だけだから」

額にキスを一つ落とし、ゆっくり宥めるように撫でられる。

「本当ムカつく…シーザーのスケコマシ!」

「褒め言葉として受け取るよGattina mia」

ジョセフは、あぁコイツには適わないなと思い、今回は大人しく彼に流される事にした。

「…シーザー」

「何だ?」

こちらからギュッと抱きしめる。

「……寒い」

「そうだな」

シーザーが嬉しそうに笑ったのが気配で分かった。

「おやすみジョセフ」

おやすみと返すと、ジョセフはやってきた睡魔に逆らうことなく瞼を閉じた。


〜fin〜




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