頂き物
□二億八千万の青
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「ねーえJOJO」
「んあ?」
退屈な授業時間が終わり、
(眠気に)勝ったッ!!今日の授業完ッ!!
と解放感に満たされた体をぐうぅっと伸ばしていると、クラスの女子たちに声をかけられた。思わずまぬけな声で返す。
「JOJOって何色が好き?」
と、そんな突拍子もない質問をきらきら…いやギラギラした目で問いかけてくる彼女たちに若干びびり…驚きつつ
(好きな、色)
脳裏に甦ったのは
鮮やかに俺を染め上げるあの、
二億八千万の青
俺の恋人は料理が上手い。
メシうま大国イタリア出身だからなのか、それとも彼自身の趣味からなのか、そりゃあもう上手い。
激安スーパーの特売品から何か魔法をかけたかのように一級品のディナー(夕飯ではない『ディナー』だ!!)が生まれるのはちょっとした詐欺だと毎回思う。しかも彩りよしバランスよし。食えりゃいい主義の俺もシーザーの料理にはもう病みつきだ。
それを本人に言ったところ、
「病みつきなのは料理だけなのかい俺の可愛いガッティーナ」
などと吐きそうなほど甘い言葉のオンパレードを受け、もう勘弁してくれと泣きついたのはそう昔でもない。
………それはさておき、俺たちの食事は料理好きも相まってシーザーがほぼ担当している。俺も作れるっちゃあ作れるんだが感覚と直感で味付けるから、THE男の料理みたいなのが出来上がっちまう。勿論味は月と鼈。
というわけで只今目の前でイケメンクッキングが開催中だ。
流れるような動きとはよくいったものだと思う。何一つ無駄が存在しないから、外見と相まって一つのショーを見ているみたいだ。本当イケメンってのは何しても得だよなこンにゃろっ
「なにむくれてんだ?…ほら、できたぞ」
でてきたのは俺の大好きなイカ墨のネーロ。ついさっきまでの僻み兼のろけはイタリアの海にぶん投げといて、フォークを構える。頬がだらしなく緩んじまう…おっと涎が。
「いただきます」
「召し上がれ」
口一杯に頬張る。
んんー!!旨いぜグー!!
「んな急がなくてもメシは逃げねえよ」
ついてんぞ、と口元を指で拭われる。
そのままパクリ。最初の頃は固まっちまったけど、何度も何度もやられて懲りないジョセフちゃんじゃない。
なに食わぬ顔で食べ続ける。
「赤くなってる」
「いちいちうるせーよ馬鹿シーザー!!」
ああ、これも毎度のことだった…
にっこり微笑む目には意地悪そうな光がみえかくれしてる。
誤魔化すようにネーロを口に詰め込んだ。