異世界旅行者エジプトへ行く

□1章 クウジョウジョウタロウ
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--------side空条承太郎----------





学校をサボって普段あまり歩かない道を歩いてみる。

やかましい女もいないしたまにはこんな道を歩いてみるのもいいかもしれない。




そう思っていると数人の通行人が上を見上げて指差していた。
おれも気になって見上げてみる。そこには火柱が上がっていて火事だ、と直感的に思った。



ここからはそう遠くない場所で今からおれが通ろうと思っていた道沿いにある家のようだ。



野次馬、というのはあまり好きではないが通り道だ。







そこには多くの野次馬。
警官が暴れる女を必死で止めていた。
その女の家なのだろう。既に火は家全体にまわり、消火したところで住むことは不可能だろう。
辛うじで2階の部屋はまだ火が弱い。




「離して!!離してよお!!!まだ2階に子供がいるの!!わたしのっ・・・・わたしの大事な子供がいるのよおおおっ!!!」



「奥さん、落ち着いてください!!すぐに救助隊が来ます!」



「馬鹿言わないで!さっきからそればかりで全く来ないじゃない!!
助けなきゃ・・・!私が行かなきゃあの子たちが死んじゃうわ!!!離してよぉっ・・・!!」




泣きわめく女。まだ子供が2階にいるらしい。
救助隊とやらは全く来ない。




「私が悪いの・・・私が居眠りなんかしなければ・・・・!子供たちを2階で寝かせなきゃよかったのにっ・・・!!!
お願い、離して!行かせて!!」



「奥さん!!行けばあなたも死にますよ!分かってください!!」



ぼろぼろと涙を流しながら大人しくなった女と、それを見て安堵する警官。


その時、1人の男が野次馬をかき分けて女の横にしゃがみこんだ。



『子供さんは2階ですか?何人?』


「ふ・・・・2人・・・・・。1歳の女の子と・・・・3歳の男の子・・・・・っ・・・・。」



『そうですか。ちょっとこれ持っててください。』



その男はそう言うと女に鞄を渡して燃え上がる家の中へ入っていた。



・・・・・・嘘だろう?




「君!!待ちなさい!!早く外へ・・・!!」



警官の言葉には何も返さず、男の姿は見えなくなった。






そして数分後、ガシャン!という音がして2階の窓ガラスが割れた。そこには男が立っていてそいつはそのまま飛び降りた。


それと同時に2階の部屋が爆発のようなものを起こし割れた窓から爆風が外へ出ていった。



2階から飛び降り何事もなかったかのように立ち上がった男の両腕にはまだ小さな子供2人。
男は目を見開く女のもとに歩み寄り、泣いている子供二人を女の側に降ろした。
鞄を女の膝から拾い上げると、それじゃあ、と言って男はおれのいる方へ歩いてきた。



「あ、あの!!ありがとうございましたっ!!な、名前をっ・・・!」



『いや、気にしないでください。
・・・お大事に。』


子供を抱きしめた女の言葉にそう返し、男はおれの横を通り過ぎて歩いて行った。
まだ若い男だった。


その後すぐに来た消防車と救急車。女と子供はその救急車に乗せられ、消防車は放水を開始した。




あり得ない事ばかりだ。
平然と火の中へ入っていき、子供を抱え2階から飛び降りた。
普通じゃない。死んでもおかしくない高さだ。



あの男がおれの横を通り過ぎた時、頬に切り傷があったのを思い出した。


確か鞄の中にはお袋が無理矢理入れた絆創膏やガーゼが入っているはずだ。
おれはさっき歩いてきた道を戻り、男を追いかけた。





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