異世界旅行者エジプトへ行く
□6章 ザ・スペースルーラー
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『・・・・で?こーちゃんがおかしい?』
「ああ。」
『うーん、名前を考えてやろうとしたんだが思いつかなくてな。とりあえずこーちゃんって呼ぶことにした。』
なんでこーちゃんなんだ、と聞かれたが俺が異世界旅行できるってことは言えないからなぁ・・・。
頭に浮かんだのがこーちゃんだった、と適当に言っておいた。
『あ。ジャン、考えてくれない?俺のスタンドタロットにいないらしくてさ。』
「ふーん。タロットにいないスタンドなぁ・・・。考えてやってもいいが、お前も一緒に考えろ。」
『えー。』
「えー、じゃあねぇだろうが!」
「あ、桐斗見つけた。ポルナレフと一緒だったんだね。」
後ろから俺の名前が呼ばれたから振り返ると承太郎と典明がいた。
『よお。どうした?』
「・・・いや、桐斗が見当たらなかったから探しに来ただけだ。」
「おれの事は?」
「「別に探してもいない。」」
「ひどい!」
いいなあ若者は!
もう何十年と異世界旅行してたから自分の実年齢忘れちゃったよ・・・。
身体の成長は20歳だったかで止まってるし。今は17って設定だけどな。
・・・何が言いたいかって言うとね、俺って一体いくつなんだろうってこと。
『はいはい、落ち着いて。承太郎、典明、お前らも俺のスタンドの名前考えるの手伝ってくれよ。』
こーちゃんを3人の前に出してやる。
いいあっていたのをやめてこーちゃんに視線を向ける3人がかわいい。
「そういえば初めて会ったときに、名前はそのうち決めるって言っていたね。」
『ああ。いままでこーちゃんって呼んでたからな。』
「こー、ちゃん・・・・?」
それを聞いて承太郎と典明がきょとりとする。
ちょっと信じられない、みたいな声色で首をかしげながら「こーちゃん」って復唱した承太郎が驚きの可愛さだった。
「こいつ、ネーミングセンスねぇよなあ!」
『うわ、ジャンひでぇ。いいぜ?別にお前の事を電柱って呼んでも。』
「やめてくれ!」
「桐斗、君のスタンドの名前を決めるなら、能力から考えたらどうだろうか?」
典明がそんな風に提案をしてくれる。さすが典明。
そうだな、そうしよう。能力から決めよう。簡単そうだもんな!
『さすが典明、賢いなあ・・・。
俺の能力は空間を操るんだ。あと、みんな知ってるだろうけど傷を治す。』
「空間を操る?そんな能力まで持ってやがったのか。」
『あー。承太郎、そっちが元からの能力なんだ。』
俺の後ろの空間を切り取って前に埋め込む。
俺が瞬間移動したかのように一瞬で承太郎たちとの間が広がった。
こんな感じでな、と言うと3人そろって俺と俺との間の空間を交互に見る。
「なんだよ桐斗、それほぼ最強じゃあねーか!」
「桐斗、悪いんだがもう一回・・・・。」
ジャンがすげー、と目をキラキラさせている。いやー、照れるなあ。でもパワーないからね・・・。
承太郎まで何時もは死んでいr・・・・失礼。綺麗な色の目をさらに輝かせてもう一回と言ってくる。
言われる通りにもう一回後ろの空間を切り取って前に埋め込む。
今度は少し広めにやってやろうかな。
『っうお!』
「すげぇ・・。」
拍手するジャンと、感嘆の声を漏らす承太郎。そして何やら考え込んでいる典明。
3人には聞こえていないようだが、さっきちょっと驚いたような声が俺から出た。
なぜかって言うと、すごい勢いで身体を後ろに引っ張られたように感じたからである。
どうやら広めの空間を埋め込むと引っ張られると言うか押されると言うかよく分からないが、そんな感じで勢いよく移動してしまうようだ。
歩いて3人のところに戻ってから、典明に声を掛ける。
『2人とも嬉しい反応ありがとう。
・・・典明、どうした?』
「あ、すみません。桐斗のスタンドの名前を考えていただけで・・・・。」
『・・・・!!典明・・・・お前は
なんていい奴なんだ・・・。』
あまりにも嬉しくて典明を抱きしめる。
典明は俺より小さいからすっぽりと俺の腕に収まる。
もう髪の毛をわしゃわしゃしてかいぐりかいぐりしたい。
「わっ!桐斗っ!?な、なに!?」
『いやー、ちゃんと考えてくれてたのが嬉しくて嬉しくて・・・。』
恥ずかしいのか顔を真っ赤にしながら、俺から離れようと俺の肩を押す典明。
恥ずかしがり屋なんだからー。
あまりにも恥ずかしそうだったので素直に離れてやった。
「日本人はシャイなんだなー。なあ、桐斗!」
今度はがしっとジャンが俺に抱きついてくる。待て、お前のホールドは痛い。
『ジャン、力強い。俺も日本人だからな一応。・・・どうした承太郎。お前も混ざるか?』
「・・・遠慮するぜ。」
仕方ないなぁ。混ざりたいくせにー。
後でもふもふしてやろう。
「桐斗、そのスタンドの名前なんだけど・・・治す能力なら、heal≠ニ言う単語を入れてもいいんじゃないかな。」
「空間の方は入れねぇのか?」
「ポルナレフ、考えても見ろ。空間はspace=Bheal≠ニ合わせて使うとどうしてもおかしな名前になってしまう。」
「使うならどちらか片方、と言うことか?」
「その通りさ、承太郎。僕はそう提案するけど、どうだい?桐斗」
『うーん、そうだな・・・。どっちかって言われたら空間の方がいい。』
俺の腰辺りにまとわりついている綺麗に筋肉の付いたジャンの腕をむにむにしながらそう答える。
「それなら、−ザ・スペース−と言うのはどうだろう?シンプルすぎるかな・・・。」
『・・・いいな、それ・・・・かっこいい!それにするよ!
3人とも、ありがとな。おかげでいい名前がついた!』
そういうと3人は笑みを返してくれた。
それからスタンドの名前が決まったことをジョセフさんとアヴドゥルさんにも言いに行くことにする。
ジャンをひっぺがして、俺は2人を探しに走った。
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