Novel

□幸せのマテリア
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「クラウド、誕生日おめでとう!」

俺はそう言ってくれる家族にぎこちなく笑みを向けた。

24という歳にもなって誕生日パーティーとはさすがに恥ずかしい。

それでも大切な人たちが、俺が生まれてきたことを喜んで祝ってくれる。
嬉しくないわけない。

「ありがとう…」

照れくさいから少し目線を落として呟いた。


誕生日席に座らされる。
テーブル一杯にパーティー用のご馳走。

チョコクリームのホールケーキが目の前にあり、ホワイトチョコのプレートには、

『Happy Birthday! Cloud』

と描かれていた。

何時ぶりのバースデイケーキだろう。

恥ずかしくて、嬉しくて。


ケーキに見入っている俺にティファが微笑みながらケーキを指差した。

「クラウド。このケーキね、マリンとデンゼルが作ってくれたの」

二人の方へ視線を向けると、すこし緊張して見ている。

ティファはいつの間にかケーキを一切れ切っていて、俺に渡す。


「食べてあげて。二人とも頑張ったんだから」


その言葉に二人が何故緊張しているのか理解する。

俺の反応を気にしているのか。

すごく嬉しくて、ガラにもないが二人を抱きしめたいくらいだから、緊張しなくてもいいのに。

二人は本当に可愛いな、なんて思いながら口にケーキを運ぶ。

「…」

甘すぎなくてクリームがしつこくない。
だけどとてもまろやかで、二人が込めてくれた気持ちからだろうか。

とても優しい味がした。

「すごく美味い」

微笑んでそう言うと、マリンとデンゼルの表情が、ぱっと明るくなった。

「やったな、マリン!」

「うん!クラウド、ケーキはね私たちからのプレゼントだよ!」

にこにこと嬉しそうに笑う二人。
俺は立ち上がって二人の頭を優しく撫でた。


「ありがとな、マリン、デンゼル」
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