短編集

□プロローグ
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世界の何処かで、
風が吹き、
人の子が泣き、
獣が吠え、
穹が弔い、
雨が降る。





そして、いずれ訪れる闇。








此処は、シュテラグ。月光を受けてきらきらと水面を輝かせるバルド海に面した小国。



此の国がその日一番盛り上がるのは、夜。



皆が浮かれ、高らかに歌ったり、酔った覚束ない足取りでステップを踏んだりと賑々しいことこの上ない。


そして、その半分ほどが大通りの一角に集まる。
一際賑わい、様々な彩りの光を発する其処は、此のシュテラグ一番と豪語し、謳われる遊技場。というのも、この中には、賭博場や酒場など娯楽に関する一切の施設が集まっているからだ。しかし、一番の目玉は観る人を幻想の世界へと誘う劇場である。

豪奢な入り口の上には装飾の多い字体で、ちゃんと『ラグーン劇場』と書いてあるのだ。


人々は顔を上気させ、扉をくぐっていく。








さあ、まもなく開演のお時間です。

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