物語

□もっと甘い嘘がいい
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「ぁ……ん、う」
「ハッ………やーらしいの」
「ひぃ、ああっ!!」
「ほらっ…もっと腰振れよ」

ぐちゅぐちゅと青峰のものが俺の中を犯す。耳に届く卑猥な水音なんか聞きたくないのに、俺の身体は青峰がもっと欲しいと腰を揺らす。クソ生意気なこの後輩は、男の俺に騎乗位をさせている。下からも突き上げられ、もう限界が近い。

「っ、うぁ!!ぁあっ……」
「くっ…あんま締めんなよっ…なぁ若松サン気持ちいい?」
「ふぁっ……あぁんっ、ん」
「男で後輩で、しかも大嫌いな奴に抱かれて気持ちーの?」
「あ、……ぅ、るせっ………」
「気持ちいいのか聞いてんだよ!!」
「うあ!?あ、あっ!!あ、ぉ……あぁっ、みね」

俺の返事に苛立ったのか青峰は突き上げを速くした。もう頭の中が真っ白になる。快感に弱いらしい俺の身体は、青峰に開発されまくった。何度も何度も抱かれ、中を犯され、かきまわされ、奥で果てられる。いつの間にか慣れてしまったこの行為に、愛情や恋情は一切ない。青峰から、なにも与えては貰えなかった。

「あっ、く……もぉ、でちゃ……あぁあっ!!」
「イ、く?」
「だ、め…イっちゃ…あ、んぁっ!!あ、青峰っ……」
「いいぜ、……っ、イけよ」
「う、ぁあんっんっ、あっ!!」

青峰は貫く速度を速め、俺を絶頂へと追いこんだ。中はとても熱くて、青峰の精液とぐちゃぐちゃに交ざってしまっている。何度も覚えさせられた青峰の味。逃げることは許されなかった。

「も、いやっ……あ、あ、あぁああぁあああ!!」
「………っう」
「んっ………あ、はぁ…はぁ…」

激しい攻めに耐えきれず、俺はあっけなく果てた。その瞬間青峰も顔を歪め、俺の最奥に熱を叩きつけた。今日だけで何回やったかわからないその行為のせいで、俺の精液は水っぽく透明になっている。青峰のものは何回か抜き差しを繰り返したあと、ぐちゅりという音をたて俺の中から引き抜かれた。

「は………スッゲー気持ちよかったぜ」
「そう、か…よ」

喘ぎすぎた俺の声は掠れていて、自分でもよく聞き取れない。頭もボンヤリして、ふわふわと宙に浮いている感じがする。そんななかでも確かに存在する青に、俺はあろうことか安心していた。事後の青峰は、いつも酷く優しかった。

「若松サン…あの、さ」
「………………………なんだ」
「………好きだ」

そう言って、俺の頭を撫でる。愛でるように、慈しむように。

でも俺は、お前の言葉も、お前自身も信じられない。嘘をつくなら、どうせならもっと俺を欲しがれよ。好きとかじゃなくて、もっと明確な。もっと甘くて溶けそうになる行為がしたいって。そうじゃなきゃ、痛さで気が狂いそうだ。

「あっそ…」

小さく返事をすると、俺は青峰に背を向けて目を閉じた。好きだと言われたのは、これが初めてではない。たぶん、行為の回数分言われている。何度も言われている言葉に、「俺も」とは返せなかった。身体だけの関係。それでもいいと望んだのは、他でもない俺自信なのだから。後で現実を見て自分が惨めになるだけだ。だって、きっと青峰にとっては


それすらも演技で

でも俺はそれにすがることしかできない。

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