裏僕小説
□cherry blossom 第2話
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お前は、桜のように美しく輝いていればいい・・・。
車の中で抱き合っている二人は、しばらくの間余韻に浸りながら、ルカの香りを愉しんだ。
ルカは優しく包んだ手を離し、そっと髪を絡めながら笑う。
「ユキ、お前に一つ見て欲しいものがある」
「???何ですか?」
ユキはキョトンとした顔で、ルカを見つめ返す。
するとどこから入って来たのか、一枚の花弁が僕の前に舞い降りてくる。
それは小さく薄いピンク色の花弁だった。
「これって・・・!!」
ユキは上を見上げた。
それは立派な桜だった。車の中の天井からなので全体は見えないが、言葉に表せないほど美しかった。
ただ一つ言えることは、僕が案内した桜並木より数倍美しいのは確かである。
「前に一度お前を迎えに行くときに、通りかかったんだ。
最初何の花か分からなかったんだが、結構綺麗だったからお前に絶対見せてやろうと思った」
「まさか・・・、これがサクラだとは思わなかったがな・・・」
「こんなに綺麗なの初めて見た・・・」
あまりにも立派で美しくて、涙が勝手に零れ落ちる。
「おい!ユキ、大丈夫か?」
「う・・・ん・・・、大丈・・・夫」
「ただ・・・嬉しくて・・・」
僕は泣き止もうとするが、次から次へと涙が零れ落ちていくのだった。
そして全ての不安が、一気に抜けていく。