裏僕小説
□七夕
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「ルカ・・・、お願い事は書けましたか?」
「あっ、あぁ・・・」
今日は一年に一度のお願い事をする日。
そう・・・、
今日は七夕の日なのである。
今は二人短冊に願い事を書いている最中だ。
「じゃぁ・・・、見てもいいですか?」
「あぁ・・・、構わない」
ルカは数枚の短冊をユキに渡す。
ユキはそれを受け取り一枚一枚見ていく。
そして、一枚一枚見るにつれて、ユキの顔が段々と紅くなっている。
もちろん、ルカから見ても分かるくらいだ。
「ユキ?どうした?顔が赤いぞ?」
「ルっルカ///こっこれ・・・、僕へのお願い事になっているよ///」
ユキが紅くなるのも無理はない。
短冊の一枚一枚には・・・。
[ユキはもっと甘えるべきだ(俺だけに)]
[ユキから誘って欲しい(俺だけに)]
などが、数枚にわたって書いてあった。
(結構ルカの・・・欲って・・・、すごいかも・・・///)
「ん?そうじゃないのか?」
ルカはまるで子犬が首を傾げるように傾け、キョトンとした目で見つめてきた。
「うっ・・・、うん///織姫様とひこ星様に向かってお願い事するんだよ。
ルカの欲しい物とかね・・・///」
「そうか・・・、迷惑だったな。押し付けてすまない・・・」
ルカは少し悲しそうな表情になる。
僕は申し訳なく思った。
「そんな!迷惑じゃありません!」
あまりにも大きな声で言ったので、ルカは目を見開いた。
「ユキ?」
「僕って役立たずだからね・・・、その、ちゃんとルカの願いを僕が叶えてあげられるのかなって思って・・・。
こんな僕がちゃんとルカを幸せにしてあげられるのかなって・・・」
ユキは俯きルカの書いた短冊を見つめる。
その様子を見ていたルカは、そっとユキの頬を撫でる。
「お前は充分なくらい役に立っている。
たとえ他の奴らが、お前の事を役立たずだと思っても、俺は決してそうは思わない」
「ルカ・・・」
「俺の人生を変えてくれたのは、お前・・・ただ一人だけだ」
「この願いは叶えなくてもいい。
だが、お前がこの先、苦しみや足掻ききれないほどの悲しみが、お前に降りかかってくるかもしれない」
ルカは外の星空を見上げる。
「いや・・・、戦えばきっとそうなる」
そして、またユキの顔を見る。
「その時はこれを思い出して、俺の所に絶対に来い。
絶対に一人で抱え込もうとするな。
これだけは約束して欲しい。いや、俺からの願いだ」
ルカの眼がいつも以上に真剣だった。
それだけ僕の事を思っているのだなと、更に実感した。
そして・・・、自然と涙が頬を伝う。
ルカはユキの涙を舌で拭い、大きな腕でユキを抱きしめる。
「約束・・・してくれるか?」
「うん///約束する。ありがとう・・・、ありがとう・・・。ルカ・・・」
まるでひこ星様と織姫様が来年も・・・
「約束だ。来年もここで会おう」
と深く深く約束するように・・・
僕たちも深く深く契りあった。
END→後書き