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□多勢に〇〇〇 【陥落編】
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(※いろいろ酷い内容な上、パラレルです…ころしやな怪盗の鬼畜受け…っぽい!?※)
「…っぅ、」
今の時期は本当に多いんだよ…マジで。
―ーーぐぐぐ…っ。
いつも鬼とか人でなしとか言われているけれど、そりゃあアンタ等を狩るのが俺の役目なんだからさー…、悪く思わないでくれよな?
と、苦しげにもがく――捕らえた獲物を締め上げる手に、最後の情けとばかりに一思いに力を込めた。
力なく垂れたその腕を掴むと、たまらずにKIDは舌舐めずりをする。
人呼んでハンターKID。大胆かつその鮮やかな仕事振りと、秀麗なる白い姿には誰もが魅了された。
孤高の正義、と言われてもいる。けれどーー。
仲間内でも、元々そんなにアレが好きという訳じゃあない。
そう、他でもないあの人の頼みならばと…今回も重い腰を上げたのだった。
この季節は、奴らの天下みたいなものだ。
ーーあらゆる箇所に潜み、全てを貪り尽くさんとするそんな彼らの所業は日に日に目に余り…遂にハンターKIDへと依頼が来たのだった。
けど正直これはちょっとめげるってもんだ。
もううんざり、とばかりに顔を背ける。内心ゲーッとなっていた。
ーーひーふーみー…っは。何この数…半端ありませんけど…!もしもし!?
隙をついてきた相手の腕を逆手に取り壁に押し付けて、振り向き様マジかよ…と思わず呟いた。
「へっ。生憎だったな…アンタもう逃げらんねーぜ?ハンターKIDさん」
首を此方へと向けて話すその顔には余裕の笑みすら浮かぶ。
ーーー何だか咄嗟の勢いで押さえ込んだために気づかなかったが…。
コイツはどこか昔の己に似てる気がした。
口の端から滲ませているその血を舐め取り、ぁぁもっと喰らいたい…!という衝動に駆られた。
「逃げる、私が?…そのような必要性がどこにあります。貴方方は私に喰われる、それが真実です」
「たった一人で乗り込んできた…正義の味方気取りってか?大層なことで」
「正義?馬鹿馬鹿しい…只の仕事ですよ坊や。」
「舐めてかかると命取りだぜアンタ。マジで…俺等全部を相手にする気かよ」
「ご心配なく。今まで数多く貴方方の同胞を手にかけてきた…この私ですよ?それに、最高で300は私一人でいけますから」
「な…っ!?」
「ほうら。よく見ていて下さいね」
そう言うなり久遠の口元をシルクの手が覆い、KIDの懐から灰色のカプセルが数個取り出されるのを見た。
ーーーおいっ止めろKID!!
止めようとした手は虚しく空を切り、割れた音と共に辺り一面を酷い煙が覆った。
「う…ゲホッゲホ………!」
カツカツと靴音高く歩みを進めるKIDの方へと身を捩る。壁にナイフによって磔られていた。
と、KIDが幾人もの倒れ込んだ者達の中に入り、彼らの体や頭やらを脚で小突いて動かないのを確認する。
「これで…何百かはいったんじゃありませんか?」
涼やかな声が告げる惨状。足下に転がされた同胞達の姿が目に焼き付く。
「き…っさまぁぁ!!」
ギリッと睨みつけながら、何とか自由を取り戻した片方の腕で久遠はナイフを掴み、KIDめがけて放った。