K■

□多勢に〇〇〇 【陥落編】
1ページ/5ページ

(※いろいろ酷い内容な上、パラレルです…ころしやな怪盗の鬼畜受け…っぽい!?※)




「…っぅ、」

今の時期は本当に多いんだよ…マジで。

―ーーぐぐぐ…っ。

いつも鬼とか人でなしとか言われているけれど、そりゃあアンタ等を狩るのが俺の役目なんだからさー…、悪く思わないでくれよな?

と、苦しげにもがく――捕らえた獲物を締め上げる手に、最後の情けとばかりに一思いに力を込めた。 
 力なく垂れたその腕を掴むと、たまらずにKIDは舌舐めずりをする。

 人呼んでハンターKID。大胆かつその鮮やかな仕事振りと、秀麗なる白い姿には誰もが魅了された。

 孤高の正義、と言われてもいる。けれどーー。

仲間内でも、元々そんなにアレが好きという訳じゃあない。
 そう、他でもないあの人の頼みならばと…今回も重い腰を上げたのだった。

 この季節は、奴らの天下みたいなものだ。
ーーあらゆる箇所に潜み、全てを貪り尽くさんとするそんな彼らの所業は日に日に目に余り…遂にハンターKIDへと依頼が来たのだった。


けど正直これはちょっとめげるってもんだ。

もううんざり、とばかりに顔を背ける。内心ゲーッとなっていた。

ーーひーふーみー…っは。何この数…半端ありませんけど…!もしもし!?

 隙をついてきた相手の腕を逆手に取り壁に押し付けて、振り向き様マジかよ…と思わず呟いた。

「へっ。生憎だったな…アンタもう逃げらんねーぜ?ハンターKIDさん」
 首を此方へと向けて話すその顔には余裕の笑みすら浮かぶ。
ーーー何だか咄嗟の勢いで押さえ込んだために気づかなかったが…。

コイツはどこか昔の己に似てる気がした。
口の端から滲ませているその血を舐め取り、ぁぁもっと喰らいたい…!という衝動に駆られた。
「逃げる、私が?…そのような必要性がどこにあります。貴方方は私に喰われる、それが真実です」

「たった一人で乗り込んできた…正義の味方気取りってか?大層なことで」

「正義?馬鹿馬鹿しい…只の仕事ですよ坊や。」

「舐めてかかると命取りだぜアンタ。マジで…俺等全部を相手にする気かよ」

「ご心配なく。今まで数多く貴方方の同胞を手にかけてきた…この私ですよ?それに、最高で300は私一人でいけますから」

「な…っ!?」

「ほうら。よく見ていて下さいね」

 そう言うなり久遠の口元をシルクの手が覆い、KIDの懐から灰色のカプセルが数個取り出されるのを見た。

ーーーおいっ止めろKID!!

 止めようとした手は虚しく空を切り、割れた音と共に辺り一面を酷い煙が覆った。


「う…ゲホッゲホ………!」

 カツカツと靴音高く歩みを進めるKIDの方へと身を捩る。壁にナイフによって磔られていた。
 と、KIDが幾人もの倒れ込んだ者達の中に入り、彼らの体や頭やらを脚で小突いて動かないのを確認する。

「これで…何百かはいったんじゃありませんか?」

 涼やかな声が告げる惨状。足下に転がされた同胞達の姿が目に焼き付く。
 
「き…っさまぁぁ!!」

ギリッと睨みつけながら、何とか自由を取り戻した片方の腕で久遠はナイフを掴み、KIDめがけて放った。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ