■文、etc


□突発的白K白事情
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※白K白突発的えろ






「…いらない」


「……こ」

「それもいらない」

「……そ」
「…睡い…」
「…じゃあもう無しでも構わないから、そのまま大人しく――」

「……やーだね」
全く。先程から、この如何にもだれだれな空気を作り出している張本人ときたら。相手のそれに、さも不貞腐れた調子を全面に出して応えては――

「にゅるにゅる…にゅる〜…にゃあっ」
等と口にし、相手の脚の間から身体をくねらせつつ、此方の横顔を仰ぎ見ているという…殊勝っ振り。

「だからもう、しないって」
分かったかい?そうしてぺちぺちと頬に触れ、而して逆に、怪盗にそのままその手をグイと引き込まれてしまった。
くすくす。微かに立つ声に苦笑して、此方はもう片方の指をその頭へと宛行ってやる。
サラサラと梳く黒髪から薫る、それにはどれだけ此方が募らせているのか等。この如何に気ままな怪盗紳士殿とて、知り得ぬ所でも無かろうに。

――まっ…今更だけどね
そう。今この場で、かの白い衣装を着崩しつつ微睡みに余念の無いこの男は、ただ――

「それともまた…抱き潰して欲しいのかな?」
「うん…」
「え」
ガバッ――そうして、ここから暗転…ではなく。綺麗に敷き伸ばされていた純白が、その上の探偵ごと捲り上げられた、その際の探偵の格好のそれだけ。

「………」
「っあぁ…、ねーみぃなっ、と♪」
パチン。怪盗はしっかりと肩に布地を留め、身体を振り起こすなり、気怠げに伸びすらして見せる。
そうしてチラと振り向いた顔には、やはりニシシと白い歯が覗いていた。

「フッ…っククク」
「…笑ってんじゃありませんよ、コンニャロ甲斐性無しめ」
「…失礼な奴だな…っクク…ははは!」
正しくそれしか無い。而してこういうとき、この相手の妙な卑怯さ加減に付き合う術等もお見通しであって――

「もう少し艶っぽい何か、こう…無いものかとね」
「ハッ。俺にそんなもんを求めるなっつーの」
「…眠いんだろう?」

――分かってる

「眠いけど?」
知ってる――そうしてこの双眸を晒す探偵が、今その瞬間を決して逃しはしないということも――

「…っ寝かせろよ」
思いの外甘い、その響きを聞く前に。
ふわり広がる白銀の真ん中へと、そっと埋めるように身体を押しては、そう嘯く相手の肩から羽根を外す。

「…っ」
衣擦れの音は早々と耳元を過ぎ、探偵の手は相手の熱い肌へと這わせられる。
じゅるっ。開けた胸を音を立てながらしゃぶる相手の姿を、怪盗は既に息を詰めて眺めるばかりだった。

「っ…本当、に…っ」
「ハッ…ハッァ…ウッ」
下腹の辺りでチロチロと舌が這わされ、そのまま臍に、くりくりと舌先をこねくり回され、きゅっと腰が揺れた。

――出ました腹舐め、というより臍舐めか
変態だろ――そう呟く。そうして、やわやわと疼き出す其処ではなく、その周りを舐るのにも実際かなり煽られる訳ではあった。

「…っはぁ、…っんっ」
「…っぁ…くっ…」
いきなりこの深夜の暗い窓を音も無く解放させては。
その冷たさに頬を焼かれるのと同時に――次の瞬間、見知った温みが探偵の両頬を包んでいたのだった。
寝酒…ならぬ寝スイーツもといスリーピングチョコというふざけた名の前戯すらすっ飛ばし。スタンドを点けた探偵にそのまま勢い良く抱き着いて――今に至る。


――こんなんに時間もへったくれもあるかよ
――時には考えて欲しいと、思うけどね

明日はちゃんと迎えに行くから、等といなしても聞く筈もなく。勝手に自主休講なんぞと宣うのも少なくない。

「…もう、こんな?」
「るっ、せ……っは、ぁあっ…」
純粋に心が躍る。乱す息遣いのそれは、彼の人だけのこの浪漫に酷くうち震える。
チュッ。躊躇い無く口に含む――舌先を、彼の人の熱に軽く絡ませる様に、そうして音を立てて吸い上げた。

「…ちょ、…っうぁ」
秘めたる其処をくんと軽く押してやれば。その一瞬、爪の先までも強張らせる相手の、それでもサッと付け替えられた取り繕いの表情がいじらしく思われた。

「脱…げって」
「…え、ー」
確かに今、乱れに乱れた着衣に半端にスラクスが引っ掛かるだけの相手に比べ、探偵は未だ綺麗にシャツを着こなしている。


「っん、だっよ…?」

だって君背中、引っかくだろう――そう言うと、すぐさま此方の首筋へ相手の指が掛かり。
いいから早く――と、ぎゅっと掴んだ襟より肩まで引き下ろしてくれる。
性急だなと笑うと、そろそろと怪盗は指を戻してニヤリと息を吐き出した――相手も分かっている。
態と焦らす様にしながらも、結局はこうなるということ等…そうしてそんな探偵の思惑にちゃっかり応えてくれるのも。


「……っ…ん、…ぁ、は…っ」
而して正直な所、未だにこの感覚への不思議さは残っている。何度となく重ねたが故に、増すばかりの想いを有りっ丈込めて、それはひたすら肯定され続けてはいた。

――此処の反りを…

「んっ!っは…ぁ」
大袈裟な位にビクリ跳ねる躯。その顔に、艶やかな恍惚の色がうっすらと浮かんでくる瞬間と。僅かに震わせた唇から零れる嬌声――甘く蕩けたその双眸を。
ゆるゆると向けながら、ガクガクと止まらぬ腰の揺さぶりに呼応させるかの様に、此方の背中をしっかりと抱き締めるのも。

「っんぁ……っぁ」
ズプズプと一思いに己を埋め込ませると、一際大きく仰け反り返り晒される、相手の喉元にそっと口付ける。
未だその際、背中にチリと熱が走るが。そんな痕等も可愛いものだと、妖しく光を称えて見詰める、その双眸に微笑み返した。



――私にそんなものを求めてはいけない…ただしそれは

「「それならば」」
覚悟したまえ。スッと取り上げた手首にガチリとそれを掛け、鎖をギッと引き寄せる。

而して当然の様に浮かべている、余裕のその笑みを称える口元――其処へ噛みつくままに、その滑りを舌先で拭った。
離れようと身動ぐ肢体には脚を絡めて倒れ込ませ――もつれ悶えるその長い長い長い応酬へと引きずり込んだのだった。


「ん、っん、ぁ…んっ、ぁあっ――」
「ん……っく――」

そうして覚えたのは、この肢体を如何に撫で上げて見せようかと――情欲に身を窶す己の姿。
相手の肌にうっすらと咲くばかりのその花を、気づけばいつも名残惜し気に撫でている――ぞっこんなのだ。


「……優しすぎ」
「…!」


少々甘く、その色を残す吐息交じりのこの後には。
やはり常に理性を持っていかれる探偵の、すかさず仕掛けた悪戯に、怪盗はフッと綻ばせて応戦する。



それがいつもの二人共の或る宵事情だった。




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