■文、etc
□S*K
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「はあ〜、疲れったあぜっと……」
仕事を終えたキッドは降りたベランダでそう溢した。
ごそごそ━━ ・・ガチャリ
「…!……へ…?」
いつもそうしているように、窓の錠を外して中に入ったまではよかった。けれど入ってすぐ再び錠を落とした途端、左手首にかかったそれにキッドは図らずも驚いた。
・・く、暗くてよく分からなかったこともあるけど、随分なことしてくれんじゃねえの。
やれやれ、と肩をすくめてみせ、自分を繋ぎ留めるこの脆い枷を外そうと試みるが…
・・・あれ? は 外れない…!?
カチャカチャと、手応えのない音が響くばかりでちっともらちがあかない。
・・ちっくしょ…ん?… ええ!?
…カチャカチャ、…スルッ
━━━!!
暗闇に目が慣れてきた途端に、キッドは己れの下肢のあたりで動めく存在を知った。と同時に、聞こえてきた音の正体もわかったが、あっという間にベルトを外されて今度は…
スルスルと、スラックスが脱がされているらしい。
「ちょっ……な、何を!?」
・・・って、マジ…何か手が入って… っっ
「ぁ……はぁ、ぁぁ…っ」思わぬ所を勢いよくまさぐられると、キッドの身体は敏感に反応した。
ネクタイを解かれ、上着は肩下までずり下ろされていることにも気付く。シャツの下を這いまわる感触に早くも腹の下が疼き始めた。それはやがて感覚の中心へと追い詰められ、高められていく。
・・いい反応だぜ、キッド
首筋から移動した熱い唇で耳元で告がれれば、既に堕ちかけていた意識が少しばかり浮上する。
・・なん…だよ、もう…
チラと非難の目を向けると、気付いたように戒められたままの左手首を引き寄せ、そこに口づけられた。
「あのね、毎回申し上げているように…コレ結構キツイんですよ?」
チリッと睨んでくる目は少しうるんでいて、この目の前の礼儀知らずには反って堪らなくそそられるものだったらしい。
・・やっぱ、すっげーいい
新一は思わずペロっと舌舐めずりをしてみせた。
「で、それはそうと名探偵…上と下の手がお留守ですが?」
幾らばかりかの虚勢を示してくる相手をみれば、成程…流石に堪えがたいようではある。
「イきたい?」
そう訊くや、一寸止まっていた手を無造作に再開させる。
「…!…っ」
息が上がって、性急なるその動きに次第に熱い感覚は高みへと再び追い詰められていく。
「はぁっ…はっ……はぁ、はぁぁ…ぁあっ…」
・・そろそろか?
「はい、じゃあここで問題です…っていうか賭け?」
「………っは…ぁ!?」
・・また、この迷探偵はぁ〜
「お好きに…どう、ぞ…」
押し寄せくる、大いなる快楽の波にうち震え必死で耐えるも、そろそろ限界だ。
・・んじゃ、イけよ
そう言って一気に頂点へと追い立てる新一の手が、突然顔の前をかすめたかと思うと
☆☆!!!☆☆
「ぁああっ ああっ━く…━!! 」
一層大きな快楽の波が押し寄せて、一気に高みへと駆け上がる。
頭の中で白く光が弾けた後、暫しの間キッドは意識を投げ出した。
・・・・・・
・・本当にやってくれたよ、こんな窓際で責めやがって!
顔を上気させながら、呼吸を整えつつ心の中でグチる。その右目に、モノクルはなかった。
同じく息を整えながら、服は一切乱していない迷…名探偵は、満足気に告げる。
「おかえり、キッド」
そう言って、右目にキスを落とした。
「ただいま、…名探偵」
微妙な敗北感と呆れとが混ざり、怠だる気に答える。
乱れた着衣を直しつつ、ほら鍵、と渡されたそれに愕然となった。
「それで、賭けとやらはどうなりました?」
カチャリッと戒めを解きながら訊いてやる。
「そりゃあお前、俺の勝ちだろ♪」
・・そりゃあそうだろうさ!……全くこんなこと毎回してくれちゃってっ
けど最近は全く動きがなかったから……油断してたかな?オレってば。
「全く…今回はモノクルでしたか」
「そ♪」
「んで、お前がイク前に俺はモノクルを口で剥ぎとれるか…お前は鍵を当てて戒めを解けるか
だったよな? コソドロさん♪」
・・・コイツ!!しゃあしゃあと吐かしやがる
「一発殴らせろ」
「はあ?なんでそうなるんだよっ」
・・賭けに勝ったのは俺じゃねえか!………それにお前
新一は頬をかきながら続けた。
「お前が、俺とヤるときって何か安心しきってるし、いつも同じじゃアレかと思ってよ」
━━只のバカップルにはなりたくねえんだよ!俺としては…
・・・これのどこがバカップルじゃないとでも…?
「殴らせろ、とは言いませんが……」
最後にモノクルを右目に填めて、新一に向き直って告げた。
━━━汚れてしまった衣装は、ちゃんと洗濯して下さいね。
━━はい…
━━結構。