ネタ■etc

□なつおもい
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 (フフフ…大分参ってるみたいですね?KID)

 そして幾箇所にも取り付けられた、少し喧しくも思えるそれらを外してやった。

 俯いたままの肩をそっと抱き寄せ、ずっと噛み締めている唇にシルクの指を割り入れる。


 更に中をかき回すと、熱にうかされたように、頬を上気させて喘ぐKIDの甘やかな息遣いが闇の空間を満たした。


 ニヤリキッドは口端を引き上げる。



 黒幕はやはり、この男だった。



   +   +   +





「ぁっ…はぁっ、ぁ…」

 施される愛撫はどこまでも優しいのに、自分には相手がわからない。寄せられているのは愛情そのもの…だのに、とKIDは切なさにうち拉がれていた。


 思い浮かべた光のその先に待つ彼のあの笑顔が、最後の―――。



(んん。よっし!概ね成功…♪)

 これ以上ないくらい弱り切ったKIDの姿を満足気に眺めてから、キッドは彼の名を呼んだ。

ゆるゆると顔を上げたKIDの髪を梳いてやりながら…

 しかしまあ。次からはどうしようか、と苦笑しながら彼の肩に腕を回して項をチュッと吸い上げる。

そして漸く口にする…魔法の詞。


「プリン、美味かったろ?」


 それからパン、パンパンと続けて手を叩く。
 途端にピクりと振れた体。次第にわなわなと震え出した彼の唇が開くより早く、キッドは宣言する様に告げた。


「全部ウーソv私ですよ、KID!」




「…ウーソって。―――あっ、あ、な、た、はぁぁっーー!!」

 噛みつかんばかりのKIDを辛うじてガムテ拘束が抑えていた。危ない危ない。


「まあそう怒りなさんな。アンタだったらこんぐらいの方が楽しめんじゃねーかなと思って、さ?」

 ーーービッ。

「いっった…!?」
(あ、わりっ。ちょっち眉毛抜けた…)

 たまにはこういうのもいいだろ?等と茶化しながら、ずっとKIDを暗がりに閉ざしていたテープを剥がす。
伏せぎがちの目の奥で光る瞳に…キッドは内心安堵していた。
「はぁ…、もう。腕の感覚がありませんよ!腰だってもう…あやふやですっ」

「ごーめんv」

「それに…あーあベトベト。何でまたガムテープなんか」
「その方が絵的においし(ry…前にロープだと皺になるし、手錠だと痕が云々って言ってたでしょう?」

「…鈴は?」

「ただの趣味v風鈴みたく涼しげな感じにしてみました。如何…っ、とーーまあそれは置いといて」

 フッと、陰りをみせたキッドの表情に息をのむ。

真っ直ぐ見つめたまま次にくるであろう言葉を待った。
 その手が振り上げられた瞬間も、しかして目を反らすことはせずに。

「…っ」

意に反して、そうっと頬に触れられた絹の指の滑らかな動きに、再び奥が揺らめく感覚。

 しっとりとした声が熟れた耳を濡らし、思わず零れた吐息は相手の唇に浚われる。
 絡めとられた舌をねっとりと貪られ、砕けた筈の腰を揺らす。
 大きくはだけられた胸元を撫で摩るその慣れた感触に湧き上がるのは期待と、そして…不安。
先程とは別の意味で表情の窺えない相手に、唯々翻弄されていた。


「してみますか?」

「…ん、ハァッ…んっ…!?」

言い訳でも。とまるで歌うような彼の問いかけ。ああ、やはりこれは相当…。



ゆるゆると動く腕は容赦なく揺り動かしてくれる相手の腕にその手をかけたまま。
覚が戻った今も、ピクリとも動いてくれない否動かせなかった。


 彼の貼り付けている笑顔が恐ろしい。冷ややかで温かくも身に迫る優しさの中で…KIDは泣きたくなった。


分かっている。彼が怒っている理由も。


「…しないんですか?っと。ほら泣かないで」

「…ぃ、うぅっ、ぅ…」

これからされるだろうことを思えば知らず身が竦む思いがした。
焦らされ詰られた身体はもうどうにもなりそうにない。


 うち震える脚の付け根辺りがズキズキと疼く。其処を摩り上げながらキッドは顔を覗き込み、スッと伝った一滴を指で掬い取った。



「…ッド、す…みませ、ん」

力を振り絞り、キッドの肩へと縋るように腕を回す。さり気に脚に負担をかけぬ様に抱え直された。

「…何を済まないと仰るのでしょうか」

 頭を預けて啜り泣く欲情にまみれた熱い身体は、色香を隠さなず…滴るような肌を所々露わになっていた。
晒された項をちぅっと吸い上げて、触れる髪をさらさらと撫で梳きながらキッドは心駆られていた。

ああ本当に――このまま流されてしまえばいいのだろうけれど。





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