■文、etc


□S*K
2ページ/2ページ


「それで、そちらの賭けの報酬は?」

「お前の○ック」
サラリと言い放つ。


「…………」

・・・くぬやろ!

「やっぱり一発殴らせて下さい」

「ええっ、なんでそうなるんだよ…」
拳を握り締めていたキッドが、徐に手袋を筈していく。そして次にハーッ、という音を聞くまで、それが本気だとは気が付かなかった迷探偵だった。

「私は、甘いのが好きなんですよ?新一」
痛む頭を押さえている、こちらの唇に人指し指を当て、キッドが笑みを浮かべながらぐっと迫ってきた。だがしかし…
・・め、目が笑ってねえ!

「つ、疲れてたんだ…?」

「ええ、まあね。でもそれだけではなくて、これからまた姫君をお送りしに行かなければならないのですよねぇ…」

・・先に此処へ寄ったっていうのに…
恨めし気な目を向けられれば

「え!?これから……あ!」
揺れる瞳から、キッドの云わんとしていることがわかった途端、新一は、すまない!と勢いよくキッドを抱きしめた。

一瞬驚いた。が、ふう。と耳元で溜め息を一つついた後

「出鼻くじかれたって感じ?」
とおどけてみせるキッドに、新一は更にギュッと腕に力を込める。

「すまねえ……」


━━━名探偵

「ごめんな?」

「……慣れっこですよ、もう」

・・・本当に…仕方ない奴。
けど、今回は自分も油断してたこともある。

「あのさ、帰ったら温かい…ココア入れてくれないかな?とびきり美味しいやつ。」

━━━ それで許してあげます。

「ああ、わかった…、」

「んじゃね♪」

━━━なあ、…



━━━いいですよ。

━━━━!?
どうしても行かなきゃいけないのかと問えば、背を向けたまま

「さっきのはノーカンで。まあちょっと間が悪かっただけで…次に帰ってくるときには、私も負けませんからね?」


━━楽しみにしてます。


「快斗…」

「ココア」


・・あ、そう。━━━ガクッ、…了解。


「本っ当可愛いくて…危うい奴!」

あっという間に彼方へと消えたその姿に、新一はひとり小さく叫んだのだった。

そして深夜。
キッドが再び舞い降りた新一の部屋には、とびきり美味しいココアと…それよりも甘く、濃厚な罠が仕掛けられていたのだった。
◆ 了 ◆




仔山羊・・お前はサイコーだぜ

##PAGE5##
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ