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□第1幕
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幻燈の街 カラスナ―
「よっ、花礫だっけ? 今日はよろしく」
「上手くやろうぜ」
薄暗い路地裏。
3人分の影が動く。
コツ―、
「お、最後の1人がご到着ー♪」
背中に月の光を浴びながら現れたエメラルドグリーンの髪の少年を見て、そばかす顔の少年が声を上げる。
「(見たことねぇ面だな)お前、名前は?」
黒髪の少年―花礫が、少し訝しげに尋ねる。
「("同業者"でここまで目立つ顔立ちしてたら普通わかんだけど)」
「...一夜限りの付き合いに、名前なんて必要ないだろ」
冷たく言い放った少年はそれっきり黙り込む。
「(声高ぇーな...背もそれなりだし、まだガキなのか?)」
俯いて壁に背を預けている少年を一瞥して、花礫は今回の"仕事"について話し始める。
「―じゃあ明日の夜、またこの場所で」
"輪"のいると言われている屋敷に盗みに入る、という危険極まりない計画を立てたまだ10代の少年達は、それぞれ闇に紛れるように分かれて帰路につく。
ただ1人、エメラルドグリーンの髪の少年は、今回のターゲットであるミネの屋敷がある方向を睨みつけていた。