kv

□第1幕
1ページ/7ページ





幻燈の街 カラスナ―



「よっ、花礫だっけ? 今日はよろしく」

「上手くやろうぜ」


薄暗い路地裏。
3人分の影が動く。

コツ―、


「お、最後の1人がご到着ー♪」


背中に月の光を浴びながら現れたエメラルドグリーンの髪の少年を見て、そばかす顔の少年が声を上げる。


「(見たことねぇ面だな)お前、名前は?」


黒髪の少年―花礫が、少し訝しげに尋ねる。


「("同業者"でここまで目立つ顔立ちしてたら普通わかんだけど)」

「...一夜限りの付き合いに、名前なんて必要ないだろ」


冷たく言い放った少年はそれっきり黙り込む。


「(声高ぇーな...背もそれなりだし、まだガキなのか?)」


俯いて壁に背を預けている少年を一瞥して、花礫は今回の"仕事"について話し始める。


「―じゃあ明日の夜、またこの場所で」


"輪"のいると言われている屋敷に盗みに入る、という危険極まりない計画を立てたまだ10代の少年達は、それぞれ闇に紛れるように分かれて帰路につく。

ただ1人、エメラルドグリーンの髪の少年は、今回のターゲットであるミネの屋敷がある方向を睨みつけていた。



 
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ