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□第1幕
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「いいよーっ カワイ子ちゃんな見回りがいった!」
ミネの屋敷の屋根の上で、そばかす少年が合図を出す。
「よし、離れろ」
花礫が慣れた手つきで小型の爆弾を仕掛けると、屋根裏に侵入するための小さな穴が開いた。
「関係ない女には手を出すなよ」
先行く2人に釘をさすように言い、自分も続こうとした花礫がふと足を止める。
「アンタ、入んねーの?」
振り向いた先にいる、動く気配すら見せない少年は呑気に月を仰ぎ見ていた。
「...先行っててくれ」
あいもかわらず素っ気ない答えにいくらか憤りを感じながらも、花礫は無言で自分の開けた穴に入った。
「...はぁ、」
1人外に残った少年は、やはり動く気力すら見せずにそこに座り続ける。
『ガキン』
「!」
すぐ近くで金属の高い音がした後、「おい、降りて来い」と呼ばれる。
あからさまに不愉快そうな表情を浮かべ、少年が屋敷内を覗く。
暗い屋根裏に、ぽっかりと開いた穴から光が漏れている。
スト、
「...コイツ誰?」
飛び降りた先の広い広間で、白い髪の少年がオロオロと自分を見つめているのを横目で見、花礫に問いかける。
「外に出てーんだとよ」
まだ硝煙をあげる銃の調子を見ながら、そう答えられる。
「俺は花礫。お前は?」
「旡」
自分が聞いたにも関わらず「あっそ」と興味なさげに答えドアに向かう花礫に、慌てて旡がついていく。
「あ、あの」
不意に振り返った旡と目が合う。
「お姉さんの名前は??」