kv
□第1幕
3ページ/7ページ
[(は? …お姉さん?)」
花礫がちら、と後ろへ視線をむける。
案の定、少年は不服そうに旡を見つめている。
「……俺はヒスイ」
溜め息を1つ吐いて短くそう答えたヒスイが、一瞬で酷く焦った顔に変わる。
「やばい!花礫!」
『ギギ…』
嫌な音を立てて開いた扉の向こうには、屋敷の主のミネと、捕まった仲間。
「ぅわ!?」
思わず後ずさった花礫の前に仕事仲間が、人間の女性には到底思えない腕力で放り投げられる。
「動けるか!?何があった?」
駆け寄る花礫に少年は「アイツ…ばけもの…」と震えながらこぼす。
「なあに?鬼ごっこするの?」
みるみるうちにその姿を変えていくミネの腕は、何mにもなり異形と化していく。
「来い!!」
走り出した4人の後を、ゆっくりとした足取りでミネが追いかけてくる。
『バン』
「わ!?」
逃げた先の部屋にいたもう1人の仲間のそばかすが、慌てたように4人を見る。
「なんだよ、どした?こっち来る予定じゃ…」
「久しぶりのディナーは…どの肉(だれ)にしようかしら」
追いついたミネが、腕を変形させ襲ってくる。
「よ…避け「伏せろ」
ふわ、と花礫の前の空気が動くと同時に翡翠色の髪が視界に映る。
『シャッ――――――!」
「!!?」
ぽた、と赤い滴が静まり返った部屋の床を濡らす。