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□第1幕
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ミネの屋敷から逃げ出し、カラスナの路地裏にはヒスイ、花礫、旡の3人。
「ありえねー、輪ってあんなやべぇのか?」
細い道を縫うように進みながら花礫がそうもらす。
「化けもんじゃねえか、どっちが犯罪者だっつうの」
「…アレは違う」
花礫の独り言に、今まで黙って先頭をきっていたヒスイが口を開く。
「は?」
「アイツは多分…」
『ドサ』
話の腰をおるように倒れた旡を見て、花礫が盛大に顔をしかめる。
「−ちょ…マジか、めんどクセェ」
「………」
「おい、待てよ」
再び歩き始めようとしたヒスイを、花礫がすかさず止める。
「お前、まさかコレ俺に押し付ける気か?」
倒れたままの旡を指さし、笑みを浮かべつつもイラついた口調でそう問いかける。
「…もともとお前が連れてきた奴だろ、俺には関係ない」
薄情ではあるが、尤もな返しに花礫は言葉に詰まる。
「とっとと報酬受けとってズラかりたいんだけど」
「(チッ、)…せめてコレ運ぶの手伝ってくんねー?」
何で俺が、と口を開こうとしたヒスイに、花礫が先手をうつ。
「さっきの話の続きも気になるしな?」
「……はぁ、」
心底めんどくさそうに溜め息をついて、ヒスイが旡の元へ歩み寄る。
「どこまで運べばいい?」