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□第1幕
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想像以上に軽かった旡は、結局花礫1人がおぶって運び、ヒスイが荷物を持って後を着いていくかたちになった。
『ドサ』
「とりあえず寝かせとくか」
簡易的なベットに旡を寝かせ、乱雑に布団をかける。
「…ココ、お前の隠れ家?」
持ってきた荷物を置きながら、ヒスイが尋ねる。
「ああ、表にも裏にも顔出しやすいだろ」
「…ああ」
おそらく同じような生活をしているだろうヒスイにそう返すと、旡の元を離れて椅子に座る。
「で?さっき言ってた”アイツは違う”ってどういう意味?」
頬杖をつき、ヒスイを品定めするように見上げる花礫。
「…そのまんま、”輪”ってのが嘘だったんじゃねーの、って話」
しばらく言いよどんでいたヒスイが、言葉を選ぶようにそれだけ言う。
「”輪”の名前の力を借りて好き勝手してたってコトか?」
まぁ有り得ない話じゃねーなと考える花礫に、もういいだろと言いたげにヒスイが溜め息をつく。