kv

□第2幕
2ページ/8ページ




「…なんのことだ?」


とりあえず探りを入れてみる。

もしかしたら、さっきミネと関わったから保護ってことなのかも…


「…ふむ、あまり刺激するようなことは言いたくないんだが」


男は困った、というように溜め息をついて、被っていたシルクハットを少し下げながら言った。


「言ってしまえば…、人間と能力者(ヴァルガ)の混血である希少な“研究対象“だな」


『キンッ!!』


「悪いけど、それを知ってるやつには死んでも捕まる気はないね」


素早く男の懐に入り、喉元にナイフを突き立てた…つもりだったが、どこから出したのか宝石のついたステッキで防がれていた。


「悪いがこちらも逃がしてやるわけにもいかなくてね」


そのままステッキをくるりと回され、腕ごと持っていかれそうになる。


「………チッ、」


とっさに距離を取り、逃げるが勝ちかと考える。

ただ、コイツが現れた時のことを考えると無駄なことなのかもしれない。


「君は何が望みなのかな?」

「はぁ?」


交換条件でも出すつもりか?


「さっきも言ったが、あくまで君は保護対象だ。ここで今までのように暮らしていくのは無理だが、それを除けば比較的快適な生活だと思うんだが」

「研究対象なのか保護対象なのかハッキリして欲しいんだけど?」


俺が言った言葉に一瞬キョトン、とした男が不意に堰を切ったように笑い始めた。


「ははは…あぁ、すまない、君の言うことはもっともだよ、ヒメさん。…そうだな、君は殺されるためにわざわざ捕まる気はないということかな?」

「…当たり前だろ」


「なら問題ない。なくなってしまっては意味がない研究対象だってあるだろう?」


変わらず優し気な笑みを浮かべていた目の前の男は、急に真剣な声色でいう。


「君は能力者との混血でありながら能力者化はしていない。君から得る情報で、もしかしたら能力者化した人達を…救えるかもしれない…!」


 
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ