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□第2幕
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「…なんのことだ?」
とりあえず探りを入れてみる。
もしかしたら、さっきミネと関わったから保護ってことなのかも…
「…ふむ、あまり刺激するようなことは言いたくないんだが」
男は困った、というように溜め息をついて、被っていたシルクハットを少し下げながら言った。
「言ってしまえば…、人間と能力者(ヴァルガ)の混血である希少な“研究対象“だな」
『キンッ!!』
「悪いけど、それを知ってるやつには死んでも捕まる気はないね」
素早く男の懐に入り、喉元にナイフを突き立てた…つもりだったが、どこから出したのか宝石のついたステッキで防がれていた。
「悪いがこちらも逃がしてやるわけにもいかなくてね」
そのままステッキをくるりと回され、腕ごと持っていかれそうになる。
「………チッ、」
とっさに距離を取り、逃げるが勝ちかと考える。
ただ、コイツが現れた時のことを考えると無駄なことなのかもしれない。
「君は何が望みなのかな?」
「はぁ?」
交換条件でも出すつもりか?
「さっきも言ったが、あくまで君は保護対象だ。ここで今までのように暮らしていくのは無理だが、それを除けば比較的快適な生活だと思うんだが」
「研究対象なのか保護対象なのかハッキリして欲しいんだけど?」
俺が言った言葉に一瞬キョトン、とした男が不意に堰を切ったように笑い始めた。
「ははは…あぁ、すまない、君の言うことはもっともだよ、ヒメさん。…そうだな、君は殺されるためにわざわざ捕まる気はないということかな?」
「…当たり前だろ」
「なら問題ない。なくなってしまっては意味がない研究対象だってあるだろう?」
変わらず優し気な笑みを浮かべていた目の前の男は、急に真剣な声色でいう。
「君は能力者との混血でありながら能力者化はしていない。君から得る情報で、もしかしたら能力者化した人達を…救えるかもしれない…!」