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□第2幕
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「失礼、」


わざわざ俺に断りを入れて電話に出た平門は、さっきまでのよく笑う平門から『輪』の一員の顔付きをしているから、多分仕事の電話なんだろうと思いながら静かにしていた。


「…ええ、分かりました。すぐに向かいます。…では」


通話を終わらせた平門は、まったく人使いが荒いとぼやきながら俺に向き直って言う。


「悪いが急な仕事が入ってしまってすぐに向かわなければならなくなったから、君を送れな…「いいよ、着いてく」


即答すれば、しばらく考えていた平門が溜め息をつく。


「危険な仕事だ。俺の信頼できる部下に迎えに来させるから」


その後、問答無用で平門に呼び出された金髪男に俺を引き渡し、平門は飛んでいった。


「(…輪って空飛べんのかよ…)」


平門が向かった方向を見上げたままでいたら、呼び出された金髪が馴れ馴れしい口調で話しかけてきた。


「君がヒメちゃん?? 俺は與儀!これからよろしくねぇ♪」


さっと差し出された手を無視して、歩き出す。


「あ、ちょっと!ヒメちゃん!?」

「なぁ、平門どこいったんだ?」


ばたばたと追いかけてきた金髪男に足を止めずに問いかける。


「あ、もしかして追いかける気!? だめだよ!危ないし、俺怒られるし!」

「アンタが怒られようと俺はどうでもいい」

「ヒメちゃん酷い〜」


着いてくる金髪男をそのままに、平門が向かった大体の方向に歩いていく。


 



 
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