長編

□アイドルでした
1ページ/2ページ




「これありがとう」




借りていたCDを翌日すぐに友達に返した





「いいえ!で?どうだった?」

「どうって。まぁ、カッコよかったと思う」

「思うってなによー、まっ亜弓はそんなんだと思った」







なら聞かないでくれ
と、思ったことは秘密にしておこう






「また今度違うの貸してあげる!」

「えーもういいよ。バイトで聴けなかったら悪いし。ありがと」

「そう?」

「うん」








会話が終わりそうな時、丁度キーンコーンというチャイムが鳴り
お互い急いで席に戻る

授業中は今日の夕飯のことで頭がいっぱいだ
どんなのにしようか…量も結構いるよね…う〜ん。




早く学校終わらないかなー








「おーい雪野ー空に夢中になるのもいいが、今は黒板に夢中になってもらいたい時間なんだがなー」

「え?あ、すっすみません!」






私の慌てた声でクラスがドッと笑いをおこした


は…はずかし〜
私そんなに考え込んでたのか!




早くバイトに行きたい
それで、この羞恥を紛らわしたい!!








学校が終わると同時に私はバイト先に猛ダッシュした


今日の事は忘れよう!!
何もなかったんだ!!!





バイト先に着くと、走ったせいなのか恥ずかしさはもうなくなっていた

ダッシュしすぎた
呼吸がなかなか整わない



もう仕方がないと思い店のドアを開け、店内に入る
店長のいつもの「お帰り」と言う言葉に軽く返事をして、着替えを済ます


店の店内へ戻ると店長が「ちょっとちょっと」と何かから隠れるように私に手招きをする





「どうしたんですか?」

「いや。アンタが入って来てからずっとアンタのこと目で追ってる客がいるから…外見も何だか悪そうだし、ストーカーか何か?」

「え?」






ゆっくりと振り返るとそこにはテーブル席で珈琲を飲みなから此方を見ている蘭丸だった






 
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ