長編
□就職活動
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カランコロン
「いらっしゃ……社長さんまた来たんですか?」
「ココの珈琲はとても美味しくてやめられまシェーン!!」
数日前のスタジオ見学に行った時の出来事から
社長さんは店に良く顔を出すようになった、珈琲を気に入ってくれたのは嬉しいのだが…この人仕事はどうなっているのやら
「龍也さんが可哀相です。仕事してくださいよ」
「ミーはバリバリ仕事してマースヨー!!」
怪しい
「はぁー。いつものでいいですよね?」
「イエースイエース!!」
この人のテンションに慣れてきている自分にハッキリ言って恐ろしく思う
店長もただ珈琲を楽しんでいるのだから悪い人ではないと認識したらしく、普通に対応している
「社長さんがあんなに気楽でいいんですかね…」
「人の事より自分の事じゃないの?亜弓ちゃん」
「え?」
突然の店長の言葉に私は?を浮かべた
「まさか忘れてるなんて言わないよね?進路」
「あぁ!!」
忘れてた
「しっかりしなよ…夏休みあとちょっとでしょ?」
「ヤバー…流石に夏休みまでにはどこに就職するか決めておかないと」
「うちに就職してくれてもいいんだよー?」
「マジですか?あれ冗談だと思ってたんですけど」
「お客さんも亜弓みたいなこだったら大歓迎だよ」
「そう言ってもらえるなら本当にここにしちゃおーかなー」
店長との長い付き合いもあって、店長はなんの迷いもなく私の就職を認めてくれている
確かに慣れている店で働くことに越したことはないし、お客さんもほぼ覚えていて楽しく働かさせてもらっている
こんなにも有り難い話を断る人間は数少ないだろう
「んーじゃあ、学校にもそう伝えようか「ノーンノーン!!そんなのもったいなーい!!!!」は?え??」
いつぞやの時のように店長と私の会話の間に割り込む社長さん
何なんですかアナタは…どんだけ人の話に首突っ込むの好きなんだよ
「若い才能を無駄にするのはダメダーメなのよー!」
「才能って…」
私に何の才能があると言うのだこのおじさん
「若い才能は将来の希望になりマース!!」
「私・・・そんな特別な才能なんて持ってませんけど」
「そこで!!Ms.亜弓には、シャイニング事務所に入社してもらいマース!!!」
話を聞けよクソじじい
てゆーか
「何勝手に入社なんて勝手なこと言ってるんですか!!」
「この間のユーのアイドル達に対してのフレンドリーな対応に私は心を打たれました」
「はい?」
「初めての人物とすぐに打ち明けられるその性格に私は決意しました!!」
何をだよ
「シャイニング事務所のアイドル達はみなさん個性が強すぎて困っているスタッフもたーーーーーくさんいまーす
!!」
「見ててわかりましたよ」
「そこで!ユーにまとめ役をお願いしたいのデース!!」
つまりただの面倒お押し付けたいだけじゃん!!
ハーハッハ!と高笑いを決め込んでいる目の前の男に私は苛立ちが隠せない
まとめ役って何だよ
「すみませんが、そんなわけのわからない理由で就職するつもりはありません」
「ほほーミーのありがたーい提案を拒否するのでーすか?」
「ありがたいかどうかは私が決めることなので」
「ふふふ・・・わかりました。ならミーにも考えがあります」
そう言って社長さんはニヤリと不適な笑みを私に向けた
なんだかわからないけど、嫌な予感しかしない
「ユーにはブラザーが一人いましたね?」
「・・・いますけど」
何故兄がいることを知っているんだこの人
「確か家は別々・・・Mr.黒崎がユーとの知り合いだということは知られていない」
「な・・・なんで知ってるんですか!?」
「そしーて、シスターコンプレックスですね」
なんでそこまで知ってるのよぉぉぉぉ
なんでだ・・・もうこの人怖いわ、なんで兄貴のこと知ってるの??
まさか蘭丸から聞いたとか?
でも、蘭丸は人のプライベートを自分から話すような奴ではないし
もしかして社長さんに何か弱み握られてて無理矢理?
「この情報はミーが自ら調べたものデース」
「・・・恐ろしい人ですね。けど、その情報がどうしたっていうんですか?」
「もし、シャイニング事務所に入社しないと言うのなーら・・・今すぐにでもユーのブラザーにMr.黒崎との事をバラシマース!!!!」
「なっ!そんなの卑怯ですよ!!」
「ハッハッハ!!どーんな手段も選びまシェーん!!」
しゃべり方がいちいちムカつく
人の弱みを握って脅すまでするか、そこまでしてあの濃いメンバーのおもりさせたいのか
「さーさーどーしまーすかー??」
「っ〜・・・こんの」
クソじじいめぇぇぇぇぇぇぇぇ