長編

□力仕事に無理は危険
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兄貴にマネージャーをしていることがバレてからというもの
1日に何10件ものメールと電話が来るのだ




−何か変なことされていないか?−

−何か弱みを握られているんじゃないのか?−

−今からでも他の仕事を探せるぞ−




こんな感じで毎日連絡がくる
私の心配をするくらいなら自分の仕事に専念してよね

ため息を吐きながら廊下を歩く
周りからは変な目で見られているだろうがそんな事を気にする余裕がなかった




「亜弓ちゃん何かイヤなことでもあったの?」

「あっ田中さん」




そんな私に話しかけて来たのは、私の教えの師匠と言っていいほど
お世話になっている田中さんだ。
入りたてで何もわからなかった私に沢山のことを教えてくれたいい人である




「いえ、ちょっと兄がウザくって」

「あら、そうなの?」

「心配性なんですよ。」

「愛されてていいじゃない」



田中さんは私の兄貴を知らないのだった
そりゃこの反応が返されて当たり前だ




「あっそうだ。亜弓ちゃんちょっと頼みたい事があるんだけど」

「はい。なんですか?」

「Fスタジオにある大道具を倉庫に片付けて欲しいの。私Aスタジオのセッティングしなくちゃいけなくて」

「田中さんの頼みならば喜んで!」




珍しく田中さんかはのお願い
日頃の恩を返せると思った私は何の迷いもなく引き受けることにした



「助かるわ!でも、大きな大道具だから無理しないでね?重いだろうから誰かに手伝って貰って」

「できる限りひとりでやってみます!」

「本当にありがとうね。」

「いえ!大丈夫です!」




人に頼られるのは好きな方な私はルンルン気分でスタジオ向かう

夕方のこの時間からなら夜までには終わるだろうしさほど心配は要らないだろう

Fスタジオに到着し、まだ残っていたスタッフの人に声をかける




「すみません。大道具を片付けるように言われて来ました」

「ああ、ご苦労様。そこのにあるの全部だからよろしくね」




そういって教えてくれたスタッフさんが指を指した方を見ると
大きなダンボールにまとめられたら道具が10個ほどだった

なんだ、思ったより少ない。
倉庫までは少し離れているが、これなら1時間ほどで済みそうだ



「早速はじめよ」



ダンボールに手をかけて持ち上げようとしたがダンボールは上がらない

ヤバイ。中身が詰まってるタイプだった
だが、数ヶ月鍛えられたこの体
こんなことでは諦めない
意地で持ち上げ倉庫へと持って行く

個の作業が9回目に入ったとき、ラスト一個だと急に力が抜ける



この一個さえ運べば終わりだ。頑張れ自分
そういい聞かせ最後のダンボールを持ち上げようとした時だ
利き手である右手首に違和感を感じた
あっ、これは痛めたなと自分でもわか
った
だが、ラスト一個

ここまでやったのなら最後までと思うのが人間だ
私はその右手首気にしながら荷物を運ぶ

この角を曲がれば倉庫だ
そう思ったとき気が緩んだ
そして角を曲がろうと少し競歩になった瞬間だ
同じように角を曲がってきたスタッフさんと衝突してしまった




「ごっごめんなさい!」

「いてて、いやいや俺の方こそ急いでたから大丈夫?」

「はい、本当に失礼しました」




ぶつかったの人が優しい人で良かった
バラけてしまった道具をダンボールに直すのを手伝ってもらい
お互い謝罪の言葉をかけてその場を後にした
だが、ぶつかった衝撃で荷物が私の足に落ちてしまったのだ
おかげで足は赤く腫れていた
帰ったらすぐに湿布張らないとな

ぼやっと思いながら荷物を倉庫に直しカバンを荷物を取りに行く


自分の不甲斐なさに少し落ち込んでしまう
腫れた足がどんどん酷くなって行くのを見ながら歩いているとまた誰かにぶつかってしまった
軽く当たっただけなのに足の痛みに耐えられず床に尻餅をついてしまった
私何回人にぶつかるんだろう




「すみません。前をちゃんと見ていな…「あれ?亜弓ちゃんじゃん」え?」



聞き覚えのある声
見上げて見るとぶつかった相手はどうやら嶺二だったようだ



「なんだ嶺二か」

「ちょっと!「なんだ嶺二か」はないでしょう!!僕だったらぶつかっても問題ないやみたいな反応やめてよね!!」

「はいはい。どーもすみませーん」

「うわー心こもってないの丸わかり」




適当に誤り立ち上がろうとしたとき
足に言葉にならない激痛が走った
あーこれはヤバイ。完全にやってしまった



「どったの?」

「ううん。なんでも「もしかして足痛めちゃった?!」…。」





速バレタ






「ちょっといろいろ重なって、もう帰るし大丈夫」

「でも1人は危ないよ。誰か迎えに来れる人とかいないの?」

「兄貴は仕事だろうし…他にそんなこと言える人いないし。」

「僕のせいだから僕が送るべきなんだけど、これから仕事だし」

「本当に大丈夫だって、家そこまで遠くないし。嶺二のせいでもないから気にしないでよ?それじゃ!」

「あっちょっ亜弓ちゃん!!」
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