長編

□誕生日でしたけど?
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「はぁー………帰りたい」




大きな溜め息をついて言った
なぜかって?


そう、その理由は今日の昼のこと
今日の夜は、シャイニング事務所が開催するクリスマスパーティー
スタッフの私にはまったくもって関係のないイベント

嶺二、蘭丸、藍、カミュ
それぞれのスケジュールの打ち合わせを済ませて帰ろうとしたときだ





バタンッ



「おはやっぷー!!亜弓ちゃー「おつかれさまです、さようなら」ちょっと!待ちなさい!」




この人が何を言おうとしているのか
何をしようとしているのか、このテンションの高さでわかる




「今日の仕事は終わったので早く帰りたいんです。」

「もー私が何をしようとしているのかわかってるくせにぃ〜」




だから帰ろうとしてるんですよ林檎さん





「パーティーなのよ?女の子が憧れるパーティーなのよ??」

「林檎さん・・・私はアイドルでもなんでもないタダのスタッフです」

「関係ないわよースタッフの子でもバッチリ決めてきてる子は少なくないわ」

「私には似合わないんですよ。そういった場所は」





いくら考えて言い訳を言おうが林檎さんはそれ以上の言葉で返してくる
この人との口論で勝つのは難しいからな・・・どうしたものか






「どうしてパーティーがいやなの?」

「嫌なわけでは・・・もともとこういう輝いた世界にいるはずのない人間ですから。なんとなくです」





そう、世界が違うのだ
本来いるべき場所にいるべきなのだ
踏み込みすぎれば、いろいろな人の迷惑がかかる





「亜弓ちゃんは自分の下に評価しすぎなのよ。そんな考えじゃ逆に相手に失礼になるのよ?」

「・・・」

「今日くらいいいじゃない。林檎ちゃんからのお願い!亜弓ちゃんと楽しいクリスマスを送りたいの」




あぁ・・・今日も負けてしまった
どうしてこの人は人に断らせない言葉を考えられるのだろうか







「はぁ・・・わかりました。その代わり私の準備すべてお任せしますからね?」

「その言葉を待ってたわ!!じゃあ早速ドレスから選びましょうか!!!」





瞳の色が豹変した林檎さんに連れられ、私は更衣室に連れ込まれた
まぁ、おいしい晩御飯が食べられるとでも考えればいいか


林檎さんは服装選びからお化粧まですべてしてくれた
本当に男なの?と問いかけたくなるほどのセンスとテクニックに呆気にとられてしまう






「ほら、完成よ〜」

「っ・・・」




鏡に映る自分の姿に目が離せなくなる
着たことのない綺麗なドレスに、プロのような化粧、器用にセットされた髪
こういう服装が嫌いだったんじゃない
私だって一応女なのだ、かわいい小物や服装はすきだ






「ありがとうございます」

「ふふ、これで終わりじゃないのよ?これからが本番なんだから!」

「もう十分です」

「も〜ほら!皆が待ってるんだからいくわよん!」





ん?
皆が待ってる??






「林檎さん・・・蘭丸たちに言いましたね」

「いいじゃない!ドレスアップした姿見てもらうくらい」

「嫌です!恥ずかしい!!!」

「ここまで来たんだからワガママ言わないの!!」

「ワガママなの!?私がワガママなの!!?」






ずるずると引きずられ私は戦場へと向かう羽目になった






  
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