長編
□就職活動
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「お世話になりました」
「いえいえ!それにしても大変な人間と知り合いになったね〜」
社長さんの脅しに負けてしまった私はシャイニング事務所で働くことを決意した
兄貴にあれこれ知られてしまうとさらに面倒なことになってします・・・
人が一人死んでしまうかもしれない・・・それだけは絶対に避けなければ
「店長はなんでそんなにニコニコしてるんですか」
「いや〜亜弓ちゃんに変なことする奴ならそりゃーもっと食いかかったよ。でも、あの社長さんの言うことも一理あるよ?」
「そうですか?」
「あんたは興味が無さ過ぎるの!亜弓ちゃんには隠れた才能って言うものがきっとあるんだから」
「私はただ普通に暮らせれば・・・」
「普通を望みすぎなの!!もっといろんなものを見て自分がやりたいって思うもの見つけるのもいいんじゃない?」
店長はにこっと笑顔を私に向けて言い切った
自分のやりたこと・・・
「それでも無茶苦茶すぎますよあのクソじじい」
「まぁ・・・高校卒業はさすがにビックリしたけど」
働くことは承知したが、「私はまだ学生なので働くのは」卒業してからじゃないと」というと
あのクソじじいは次の日、私の目の前に卒業証を持ってきたのだ
私は2年と半年で高校を卒業することになってしまったのだ
何もかもが急過ぎて目が回りそうだ
「しかも今日から出社でしょ?パワフルねー」
「パワフルどころの話じゃないですよ。もう過ぎたことだし、自分の言ったことは最後まで責任持ちますけど」
「頑張ってね!住む場所は変わらないんだからいつでも遊びにいらっしゃいな」
「ありがとうございます」
店長に挨拶を済まし、いよいよシャイニング事務所初出勤です
「と、いうわけで今日からこちらで働くことになりました雪野亜弓と申します」
事務所に着き、社長室に顔を出すと私が知り合ったアイドルの皆が揃っていた
「まさかうちに入るとは思わなかったわ〜」
「私も思ってませんでしたよ月宮さん」
「こうなった以上は仕方ねーな。わからない事があったら遠慮なく相談しろ」
「ありがとうございます龍也さん」
「亜弓ちゃんと一緒に働けるなんてぼくちんうえれし〜よ〜」
「よろしくね嶺二」
「シャイニングに掴まるなんて付いてないね」
「ごもっともだよ藍ちゃん」
「ふっお前が情けないからだ」
「カミュ・・・煩い」
皆私が事務所で働くことに反対ではなさそうで少し安心した
私みたいな普通の女がこんな特別な職に・・・しかもなんの苦労もしないで入ったとなれば風当たりはキツイんだろうなとは覚悟していたつもりだったが
その必要はあまりなかったみたいだ
「どうせ弱みかなんか握られたんだろ」
「やっぱりそういう人って認識されてるんだ、あの人」
そういうことに一番うるさそうな蘭丸の反応が一番怖い
これで蘭丸に嫌われたりしたらどうしようとやもうご飯を食べたり、話が出来なくなったりしたらどうしようなどなど
考えればきりの無いことばかり考えてしまった
「悪かったな・・・。俺が関わっちまったから」
「別に蘭丸のせいじゃないじゃん悪いのは全部あのクソじじいなんだから」
どうやらそんな心配もいらなかったようで私の中のモヤモヤとした黒いものは無くなった
そして、この自体を引き起こした張本人に私は指を指しながら睨みつける
「ハッハッハ!!態度が急変しましたネーMs.亜弓」
「当然!!これからもこれで行くから、以後お見知りおきを」
秘書の仕事ってなにするんだ?
社長、珈琲です。みたいな事をするのか?
毎日珈琲入れて仕事終わりって事はないだろうし
まとめ役って言ってたけど具体的には何をすればいいんだろう?
「私は何の仕事をすればいいんですか?」
「今日は働くための資料を集めておきマーシタので、それを頭に入れてもらいマース」
「それだけですか?」
「イエースイエース!とても簡単なお仕事デース!!」
怪しい
絶対なにか裏があるに決まってる
「これがその資料デース!」
そう言って私の前にはファイルにまとめられたらファイル一つだけだった
え?これだけ?
てっきりもっと大量に用意されているのかと
「これだけですか?」
「イエース!この業界は何が起こるかわかりませーん。資料を読んでも無駄なことがたーくさんありまーす!!」
つまり体で覚えろと…働いて覚えていかなきゃダメなことが山積みってやけか
「それでは今日から頑張ってちょーだい!!」
社長はそのまま別れをつげると窓を割って飛び出していった
窓を毎回毎回ああやって割って出て行くのか?
どれだけ滅茶苦茶な思考してるのやら
「また割って行きやがった!!なんべんも割るくらいならもう窓なんか作んなっての!!」
それをまた龍也さんが怒りに燃えている
なるほど、社長の後始末を龍也さんがやっているのか
それをこれからは私もやるのかと思うと今すぐ逃げ出したくなった
「シャイニーは何しでかすかわからないからねー」
「お前は嫌だろうが俺は仲間が増えて嬉しいけどな」
そんな仲間を望まれても困ります
「まあまあ、わからないことがあれば僕らになんでも聞いて。」
「まっ、変なことして僕に危害があっても困るしね」
「俺に跪くならば教えてやらんこともない」
みんな私を助けてくれるみたいなので
働いては行けそうだ
進路進路とバタバタして変な職につくよりはマシなのかな
「これからよろしくお願いします!」